■灰原がひとりで奮闘!

 最後はコミックス20巻から21巻にかけて収録されている、灰原が奮闘したエピソード「青の古城探索事件」だ。もちろん灰原はコナンと同じく小学生の子どもではなく、その正体は頭脳明晰な科学者だが、本来推理は専門外である。

 この事件は、阿笠博士とキャンプに来た少年探偵団が偶然立ち寄った古城で起こった。そこで働く庭師によれば城には宝が隠されており、大旦那が亡くなる前、「この城の謎を解き明かした者に、私の一番の宝をやる」と話していたという。

 その話に食いついたコナンは、ひとりで行動したために宝を狙う犯人によって気絶させられた上で監禁される。阿笠博士と少年探偵団はコナンを探そうとするが、その途中で阿笠博士も襲われてしまった……。

 ふたりを襲った犯人が身近に潜んでいる状況で、頼みの綱は灰原だけとなった。そこで灰原は隠し通路や不気味な塔の探索を進めるが、その過程で元太と光彦まで行方不明に。さらに犯人を突き止めた後は、歩美とともに襲われ大ピンチに陥ってしまう。

 最終的には光彦によって救出されたコナンのおかげで犯人を捕まえられたが、コナン抜きで灰原が犯人までたどり着いたのはこれが初めてだ。

 コミックス68巻に収録されている「闇に消えた麒麟の角/キッドvs.四神探偵団」でも、似たような状況で灰原の推理が冴える場面があった。その時はコナンが、推理をする前にキッドにスタンガンで気絶させられており、これもかなりレアな事件といえる。

 

 『名探偵コナン』の見どころのひとつはコナンの冴えわたる推理だが、時には予想外のキャラが活躍するエピソードもある。特に、普段はコナンの後をついていっている印象がある少年探偵団の奮闘は、思わず手に汗握りながら応援してしまう。今後も彼らの活躍が見られるエピソードが増えていくのを期待したい。

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