■こんな母ちゃんになれたら最高!?『天空の城ラピュタ』ドーラ
1986年公開の『天空の城ラピュタ』にも、ドーラという強い女性が登場する。
ドーラは飛行船・タイガーモス号の船長であり、3人の息子をはじめとした総勢10人のドーラ一家を率いるワイルドな女海賊だ。ドーラは伝説である天空の城ラピュタに眠る財宝を狙い、主人公の少年・パズーや、ラピュタ帝国の後継者であるシータを利用しようと考える。
当初はパズーやシータの敵であったドーラだが、政府調査機関のムスカがシータをさらったあとはパズーと共闘してシータの奪還を目指す。
幼い頃、ドーラを映画で見た筆者は「こんな怖いおばあちゃん嫌だ……」と思っていたのだが、大人になると全く違う見方になる。
いい年齢なのにアグレッシブに動き、型破りな行動で息子たちを引っ張る姿を見ると、自分も「こんなパワフルな女性になりたい……」と尊敬すらしてしまうのだ。ちなみにドーラの年齢は50代と推定され、気づけば自分もその年齢に近づいているのが驚きである。
「泣き言なんか聞きたかないね!! なんとかしな!!」「メソメソするんじゃないよ!! もっといい船つくりゃいいんだ!!」といったドーラならではの豪快なセリフも作中を大いに盛り上げた。
巨大なエビやハムなどにむしゃぶりつく姿もワイルドで、これぞアニメ界随一の肝っ玉母さんといえるだろう。豪快で決断力のあるドーラの姿から、パズーやシータが学んだことは多かったはずだ。
このようにジブリ作品には、一見すると怖くて主人公を追い詰めるような強い女性が多く登場している。しかし、大人になって見返してみると、悪役の女性たちにも彼女なりの正義があり、自分の信念を持って行動していることが分かるのだ。
ただの悪役ではなくその生き方から学べることも多い女性、それがジブリ作品に登場する強い女性なのだろう。