■原作のわずかなシーンからキャラの絆を描く演出
最後は、原作漫画でたった9話分にあたる内容が8話のアニメとなり、アニメオリジナルの展開や演出が多かった『柱稽古編』。結果的に、柱の意外なプライベートが明かされファン垂涎のシーズンとなった。
第1話ではさっそく、ファンブックで気が合うことが明かされていたにも関わらず、原作ではあまり関わりのなかった蛇柱・伊黒小芭内と風柱・不死川実弥が鬼が潜伏する城へと潜入し、共闘するという激アツシーンが描かれた。
2人ともここでアニメ初披露となる技を繰り出し、「危なかったな」「頼んでねーよ」という他愛もないやりとりもあった。
さらに、『柱稽古編』の第4話「笑顔になれる」では、原作漫画で描かれた約2ページ分の内容がまるまる1話を使って描かれていた。
その内容は、炭治郎のアイデアで、霞柱の時透無一郎と他の一般隊士たちが紙飛行機の飛ばしあい競争をするというもの。
これまでの『鬼滅』ではなかなか見られなかった、和やかで和気あいあいとしたシーンは、戦っていない時は彼らもただの少年なのだということを実感させた。
無一郎の紙飛行機については、公式ファンブックの人物録の欄に小さく「趣味:紙切り、折り紙(死ぬほど飛ぶ紙飛行機が作れる)」と描かれていた程度。この設定が広げられ、隊士たちとの交流につなげて演出されたのだ。
原作以上にそれぞれの関係性が描かれたアニメオリジナルシーンは、作品により深みを持たせることに成功している。これまでのアニメで蒔いてきたこうした「種」が、『無限城編』で生かされるかもしれない。