
三部作で公開されることが決定し、第一部が7月18日に公開される『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』。そのサブタイトルが「第一章 猗窩座再来」となることが発表され、本予告と第2弾キービジュアルが公開された。
これまで『竈門炭治郎 立志編』『無限列車編』『遊郭編』『刀鍛冶の里編』『柱稽古編』と全てのアニメシリーズで人気を博し、たびたび話題となってきた『鬼滅の刃』もいよいよラストパートへと向かう。これまでのアニメでは、原作漫画の展開の再現度の高さや、美しい作画、迫力のある演出が高く評価されてきた。その中には違和感こそないものの、「実はアニメオリジナルの展開だった」というシーンが少なくない。
今回は、実は原作漫画では描かれていなかった、アニメのみで描かれていた設定・シーンを振り返りたい。
※本記事は作品の内容を含みます。
■「那田蜘蛛山編」姉の生い立ちに「無限列車編」の始まり
基本的には、原作に忠実に描かれるアニメ版『鬼滅』。だが実は、ある鬼の過去はアニメのみで明かされている。『竈門炭治郎 立志編』のアニメ第20話「寄せ集めの家族」で描かれる累の姉の蜘蛛のストーリーがそうだ。
「那田蜘蛛山編」での激しい戦闘も終盤に近づいてきた頃、原作では蟲柱の胡蝶しのぶによってあっけなく倒された姉蜘蛛だが、アニメオリジナルストーリーとして彼女の鬼になってからの生い立ちが詳しく描かれていた。
それは、もともと弱い鬼だった彼女が、累と家族となることを条件に追ってくる鬼殺隊隊士から助けられるところから始まる。寄せ集めた弱い鬼たちによる、累が支配する歪な家族関係は続き、ある日、姉蜘蛛は自分のさらに「姉」を演じていた鬼から、ともに脱走の誘いを受ける。しかし彼女は事前に累に計画を密告し、仲間であるその姉を見殺しにした。自身が累からの信頼を得るために、わざと仲間を売ったのだ。
卑劣な彼女の過去は、そのまましのぶに殺される理由にも通じるものがあった。うまくアニメオリジナル展開と本筋のストーリーをからめた過去回想であった。
また、敵サイドの事情だけでなく、原作漫画にはついぞ登場しなかった、炎柱・煉獄杏寿郎の父であり、元炎柱の槇寿郎の柱時代のエピソードと活躍に触れられたこともあった。
アニメ版『無限列車編』1話は全てがオリジナルストーリーで、煉獄杏寿郎が切り裂き魔の調査に来るという内容。
煉獄はそこで牛鍋弁当を売るおばあさん・トミとその孫のフクを鬼から守るが、トミは20年前にも柱によってその命を救われたことがあると明かす。
その相手こそが、杏寿郎に瓜二つの現役時代の父・槇寿郎だった。所作も含めてあまりに2人が似ているので、20年前のことなのにトミは槇寿郎と杏寿郎を同一人物だと思ったほどだった。
原作ではずっと酒を飲んでやさぐれていた彼の、最盛期の活躍が見られたことに、心が躍ったファンも多いはず。父子揃って同じ人を助けたというのもなんの因果であろうか。ちなみに杏寿郎はこの後、列車に乗り込む前に在庫の牛鍋弁当を全て買い込む。「うまい!うまい!」と列車の中でとんでもない量の牛鍋弁当を食べていたインパクトある登場シーンにつながるという、なんとも粋なアニメオリジナルエピソードだ。