『シティーハンター』冴羽獠に『北斗の拳』ラオウ、『聖闘士星矢』ドラゴン紫龍も…勝つためには何でもする! 昭和『ジャンプ』作品に登場する「ぶっ飛んだ作戦」の画像
DVD『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』(アニプレックス)©北条司/コアミックス・「2019 劇場版シティーハンター」製作委員会

 1968年に創刊されて以来、多くの名作を生み出し続けている『週刊少年ジャンプ』(集英社)。なかでも「黄金期」と言われる1980年代から1990年代中頃にかけての勢いは凄まじく、発行部数はなんと歴代最高記録の653万部を突破。昭和の子どもたちはみな発売日を楽しみにし、作品に夢中になったものだ。

 そんな『ジャンプ』のなかでも、とりわけ高い人気を誇ったのが「バトル漫画」や「アクション漫画」だ。主人公と強敵が戦うシーンを、今も鮮明に思い出せる人は多いのではないだろうか。

 だが、思い返してみると、昭和の『ジャンプ』には信じられない方法で敵を追い込むシーンもたびたび見られた。それが「自分の体の一部を犠牲にして相手を倒す方法」である。

 現実ではちょっと考えられない、インパクトのあるぶっ飛んだバトルシーンを振り返って紹介していこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■手のひらを貫通させて弾丸の威力を弱めた『シティーハンター』冴羽獠

 1985年より連載された北条司氏の『シティーハンター』は、凄腕始末屋(スイーパー)のスナイパーであり探偵業を営む主人公・冴羽獠の活躍を描いた名作だ。

 本作では獠が神業ともいえる銃の腕前を次々に披露するが、インパクトのあるぶっ飛んだ作戦といえば、コミックス1巻に掲載されている「BMWの悪魔の巻」だろう。

 殺された妹の敵を取ってほしいと、美女・亜月菜摘に依頼された獠。2人が大人向けのスナックで相談をしている最中、1人の男が女性を人質に取る事件が発生する。

 獠はその男に拳銃を向け、やめるよう促す。だが男は、ガラス越しに立ち「撃ってみろよ!!」「この距離でおれを撃てば弾はおれの体をつきぬけ表のやつらにもあたるぜ!!」と脅すのだ。しかし獠はひるむことなく銃を撃ち、男を倒す。

 獠はこの時、威力の強い銃弾を自分の手のひらを貫通させて撃つというとんでもない方法を取っていた。「弾の威力が強すぎれば適当な物を貫通して弱めればいい」と言い、その場をクールに去っていく。しかしその後「かっこつけすぎたか……」と、痛みに悶絶する姿はいかにも彼らしい。

 このエピソードは『シティーハンター』が連載を開始した当時、読者にどのような作品であるかを強烈に印象づけ、大きなインパクトを与えた名シーンだった。

■このままじゃ負ける…!? 自らの足と同時にトキの動きを封じたラオウ『北斗の拳』

 1983年より連載が始まった『北斗の拳』(原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏)にも、勝つためには何でもするといったとんでもない作戦が登場する。それが主人公・ケンシロウの宿命のライバル・ラオウと、その弟・トキとの戦いだ。

 コミックス8巻に登場する「静水のようにの巻」にて、ラオウはトキと戦う。

 激しい闘気を放って攻撃するラオウに対し、トキはそれを静水のように受け止め、ラオウに攻撃。すんでのところで受け止めたラオウは「つ……強い!!」とうろたえ、トキを空中に投げ自分もジャンプする。

 そして地上に降りたところで、ラオウはトキの足を踏みつけたまま巨大な武器を取り出して、なんと自分の足もろとも突き刺した。これは、トキの動きを封じ込めるためであったのだが、自分の足を犠牲にしてまで相手の動きを止めるなんて、普通の人には絶対にできないだろう。しかしラオウは、勝利を得るためには自分の足が傷つこうがどうでも良いのだ。

 読者にとっては思わず「痛い!」と叫んでしまうようなこのシーン。ラオウというキャラクターが、いかに凶暴かつ絶対的な存在であるかを言わしめたシーンでもある。

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