■先輩たちの思いとともに受け継がれていく軽音部『けいおん!』
2007年より『まんがタイムきらら』(芳文社)で連載された、かきふらい氏の『けいおん!』は、私立桜が丘女子高等学校の軽音部に集った4人の女子生徒たちの学園生活と音楽活動を描いていく4コマ漫画だ。
2009年からはアニメ版が放送され、より詳細に描写された日常風景や演奏シーン、ハイセンスな音楽や主題歌など、さまざまな見どころから熱狂的なファンを獲得している。
シリーズ2期の終盤では、これまで軽音部として歩んできた平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬の4人が、受験へと立ち向かっていく姿が描かれた。
いつもの部室で真剣に勉強に励む4人に、5人目の部員として入部した後輩・中野梓がチョコレートケーキを作って彼女たちを激励。卒業の物悲しさもわずかに感じられるなか、ついに受験日を迎えた。
積み重ねたすべてをぶつけた4人は、揃って志望大学へ見事合格する。メールで「桜」の絵文字を4つ送信し、彼女たちらしい合格通知で梓を喜ばせたシーンは印象的だった。
ちなみに原作では、彼女らが進学したのは「N女子大学」と名前が明らかとなっている。また4人揃って大学生活を送ることができる喜ばしい展開だが、後輩として残された梓は彼女たちが卒業する寂しさから涙を流す場面もあった。
しかし、実はそんな梓についても、スピンオフ作品『けいおん!highschool』で、部長となって新たな軽音部を盛り上げていく姿が描かれている。メインキャラたちの感動的な卒業に加え、残された軽音部の今後の展開もますます気になるところだ。
独特の緩さから観る者に癒しを与えてくれる日常系アニメ。それぞれの穏やかな世界が永遠に続いていきそうな物語も多いが、原作やファンブックなどでは登場人物たちの知られざる「その後」を見ることができる。
大学生として、社会人の一員として……進学先や就職先にも、キャラクターごとの個性がしっかりと反映されているのは実に面白い。
成長した彼女たちが繰り広げる新たな日常を覗いてみたいと思うファンは、ぜひ紹介した作品を読んでみてはいかがだろうか。