
1980年代、任天堂から発売され家庭用ゲーム機として一大ブームを巻き起こした『ファミリーコンピュータ』。ここから数々の名作が生まれ、多くの子どもたちが夢中となった。
しかし、「ゲームバランス」という言葉もほとんど聞かれなかったこの時代。「ノーヒントじゃ絶対無理」「そんなの気づけるか!」とプレイヤーの悲鳴が上がってしまうような、あまりにも無茶なギミックや進行トラップが数多く存在していた。
今回は、当時の少年少女たちの心を折った、ファミコンの“伝説級に理不尽な謎解き”を振り返る。
■『ドラクエII』 邪神の像の二度使い
1987年に発売された『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(エニックス)は、シリーズ屈指の高難易度タイトルとしても名高い、ファミコン時代を代表するRPGだ。その“ムズさ”の象徴ともいえるのが、終盤で手に入る重要アイテム「邪神の像(じゃしんのぞう)」だ。
これは、破壊神を象った神聖なアイテムで、「ロンダルキアへの洞窟」の入り口を出現させるために使用する。使用タイミングについては、北のお告げ所でヒントが得られるため、プレイヤーも納得して使うことができる。
だが問題はその後。この「邪神の像」は、ラスボス・ハーゴンの根城である「ハーゴンの神殿」でもう一度使わなければならない。「邪神の像」を1Fのダメージ床に囲まれた十字架の中央で使うことで、隠された2Fへと上がることができるのだ。しかし、この2度目の使用について、ゲーム内では一切ヒントがない。真の神殿を映し出した後、一見何も無いように見える“十字架の部屋”で、黙って像を使うことでようやく先に進める仕組みになっているのだ。
ここで詰まった当時のプレイヤーたちは、雑誌の攻略記事や友人からの情報に頼るしかなかった。さらに「ロンダルキアの洞窟」そのものも凶悪な難易度を誇り、「いなずまのけん」の存在も、発見に至るには口コミ頼み。こうした数ある理不尽ポイントの積み重ねによって、『ドラクエII』は「シリーズ最大の鬼畜ゲー」として語り継がれているのだ。
昨年発売されたHD-2D版の『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』では「ガイド機能」が実装され、次にどこへ行けばいいのか、何をすればいいのかが明示されるようになった。2025年10月30日発売予定のHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』でも同様のサポート機能が実装されるにちがいない。
ガイド機能があったほうがプレイヤーにも優しく、ありがたいものだが、もうあの謎解き感を味わえないのは少し寂しい気がする。
■『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』 隠しワープを探せ
RPGだけでなく、アクションも非常に難しいゲームが多く、どうやって先に進めばいいのか分からない作品は珍しくなかった。アニメ『火の鳥 鳳凰編』をゲーム化した『火の鳥 鳳凰編 我王の冒険』(コナミ)もまた、強烈な“理不尽ギミック”を備えていたタイトルだ。
本作は「太古」「来世」「大和」の3つの時代に分かれており、全16ステージによる構成。各時代のステージはループ構造で繋がっており、異なる時代へ進むためには、地形のどこかに隠されたワープゾーンを見つけ出す必要がある。
問題は、このワープゾーンの場所について、ゲーム内で一切ヒントが提示されない点にある。壁の一部に見える地形の違いや、プレイヤーの直感に頼らなければならず、総当たりで探し回るしかない。
特に最終ステージの「大和ステージ8」は、通常の方法では到達できない隠しステージとして設定されており、行くためには、ワープゾーンがある「太古 STAGE3」にて、ワープゾーンが隠されたブロックを探し、そのブロックを壊していくことが必要になる。
この手順も当然ノーヒントであり、偶然の発見か周りの人に聞いて回る以外の方法はなかった。