
漫画で描かれる死亡シーンはどれも悲しいものだが、中でも主人公と関係が深いキャラが死んでしまうと、悲しみ以上に衝撃を感じてしまう。それは、まさか死ぬとは思っていなかったからでもあり、読者としてそのキャラに愛着を抱いていたからでもあるだろう。
特に女性キャラの場合、その死が残酷だったり唐突だったりすると、特に印象に残ってしまうものだ。そのキャラが魅力的であればあるほど、他の皆とともに幸せになってほしかったという気持ちがあり、「どうして死んでしまったんだ……」と大きなショックを感じてしまう。
今回はそんな“女性キャラの予期せぬ最期”について振り返っていこう。
※本記事には各作品の核心部分の内容を含みます
■唐突すぎる死がショックだった『進撃の巨人』サシャ・ブラウス
まず紹介したいのは、諫山創氏による『進撃の巨人』に登場するサシャ・ブラウスだ。サシャは、食いしん坊で少し抜けたところがあり、みんなからイジられる愛されキャラである。
巨人相手にも果敢に立ち向かい、弓矢の腕前は飛び抜けていた。ムードメーカーとしても戦力としても、エレン・イェーガーたちにとって欠かせない仲間のひとりだ。
そんなサシャの死が不意に訪れたのは、マーレ編でのこと。マーレのレベリオ収容区を襲撃した後に撤退する際、「マーレの戦士」の候補生であるガビ・ブラウンが調査兵団の飛行船に乗り込んでくる。
ガビは知り合いを殺されたせいで調査兵団に強い恨みを抱き、復讐のために動いていた。そんな彼女に撃たれたサシャは、銃弾の当たりどころが悪かったのもあってそのまま息を引き取る。あまりにも唐突すぎる出来事に、仲間だけではなく読者までもが何が起こったのか理解できなかっただろう。
サシャこそがガビの知り合いを殺害した張本人だったので、ガビの気持ちも痛いほどによく分かる。しかし、やはり初期から登場する仲間が死亡したショックは大きく、喪失感に打ちひしがれてしまった。
生命力にあふれ、コミカルな言動で仲間や読者を笑わせてくれたサシャ。そんな彼女があっけなく死亡するシーンには、本作の世界の残酷さがよくあらわれているように思えた。
■手紙の内容に泣いた…『四月は君の嘘』宮園かをり
新川直司氏による『四月は君の嘘』のヒロイン・宮園かをりの最期にも非常に驚かされた。
かをりは小さい頃、主人公の有馬公生のピアノ演奏に感銘を受け、ヴァイオリニストになると決意する。そしていずれ公生と一緒に演奏をすることを目標としていた。
しかし、公生は母の死をきっかけにピアノを弾けなくなり、彼女の夢の実現は難しくなってしまう。それでもかをりは決してめげず、中学校で再会した公生にピアノを弾かせるため奮闘。公生は少しずつ心を動かされて、自分と向き合い再びピアノを弾き始める。
2人で一緒に演奏する機会もでき、幸せな時間はこれからも続くように思われた。だが、実はかをりは重い病を患っていて、入退院を繰り返すことに……。それでもかをりは諦めず、平静を装って周りに心配をかけないようにしていた。
そして、公生が東日本ピアノコンクールに挑戦するのと時を同じくして、かをりは大きな手術をすることになる。ここを乗り越えられれば、きっとまた公生と演奏できるはず、そう思っていたが……残念ながら、かをりは命を落としてしまう。
せっかく公生をピアノの道へと引き戻し、これから好きなだけ一緒に演奏できるようになるところだったのに、志半ばで亡くなったかをりが可哀想でならない。
しかも、前述した「小さい頃から公生に憧れていた」という真実は、死後公生が受け取った手紙でようやく明かされる。その中で綴られた、「君が好きです」「好きです」「好きです」という公生へのあふれんばかりの想いにも泣かされる。