■満足げな表情が切なかった…『犬夜叉』神楽

 最後は高橋留美子氏による『犬夜叉』の神楽を紹介したい。神楽は奈落によって生み出された妖怪のひとりで、本来は犬夜叉たちの敵側のキャラである。

 ただし、神楽は束縛を嫌い自由を愛する性格で、奈落に対しても反抗的だった。奈落に自身の心臓を管理されているため、そのせいで嫌々ながら従っているという状態だ。

 そんな神楽は犬夜叉や日暮かごめたちと接することで、少しずつ心を開いていく。そして、奈落の呪縛から逃れて自由になるため本気で動き始める。その過程で神楽は、殺生丸とも何度か交流し、彼に惹かれていく。殺生丸のほうも、神楽に助言をしたり、魍魎丸から神楽を庇ったりといった行動を取るように……。

 いつしか、神楽は犬夜叉や殺生丸にとって守るべき存在であり、一緒に奈落を倒すための仲間にもなったのだ。

 しかし戦いの中で、神楽は奈落から心臓を返されると同時に、大量の瘴気を注ぎ込まれてしまう。殺生丸や犬夜叉たちが駆けつけた時には、手のつけられない状態となっていた。

 殺生丸は天生牙で救おうと試みたが、意味がないと気付いて手を止めてしまう。それでも、神楽は殺生丸に会えたことを喜んでいた。ボロボロの状態で「最後に…会えた。」と笑顔を浮かべる姿がなんとも切ない。

 殺生丸もほとんど表情は変わらないが、神楽に対し“おまえを探してここに来た”とはっきり伝え、愛情をしめしている。死亡してしまったのは悲しいが、最期に心穏やかな時間を過ごせたことは素直に良かったと思えた。

 

 まさかの展開で物語から途中退場するキャラの姿には、言いようのない悲しみを感じる。それがお気に入りのキャラであればなおさら、幸せな結末を迎えてほしかったと願ってしまう……。

  1. 1
  2. 2
  3. 3