■清楚にして危険『仮面ライダードライブ』メディック

 2014年放送の『仮面ライダードライブ』に登場したロイミュード幹部・メディックも、忘れがたいセクシー悪役のひとりだろう。

 演じたのは、本作がテレビドラマ初出演となった馬場ふみかさん。抜群のスタイルと清楚な雰囲気を武器に、美しさと冷酷さを併せ持つ魅力的な敵キャラを演じた。

 黒髪にノースリーブのミニ丈ワンピースという衣装は、彼女のグラマラスな魅力を上品に演出する衣装である。過度な露出はなくとも脚線美や胸元を巧みに強調し、セクシーかつどこか神秘的な“清楚系悪役”として、先に紹介したタイプとはまた異なるアプローチで視聴者を惹きつけた。

 さらに物語では、ロイミュードの指導者・ハートへの異常なまでの愛情を抱き、その思いはやがて“行きすぎた愛”へと変貌していく。他者を傷つけ、自己犠牲もいとわない……この“捨て身の献身”こそ、メディックというキャラクターの本質的な魅力だと筆者は思っている。

 ちなみに、本作で注目を集めた馬場さんは、以降グラビアやファッション誌のモデルとしても活動を始めており、今や本作の枠を超えて活躍する存在となっている。

■“天使”が見せた禁断の誘惑『ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー』エンジェル

 『仮面ライダードライブ』のスピンオフ作品『ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー』に登場するエンジェルも、強烈なインパクトを残したセクシー悪役だった。

 演じたのは、特撮ファンには2006年放送『轟轟戦隊ボウケンジャー』の風のシズカ役でおなじみの山崎真実さん。かつてはキュートな声と愛嬌あるキャラクターで人気を集めた彼女だが、本作では一転、妖艶な悪役を演じた。

 エンジェルは、その名の通り、天使を彷彿させる神々しいロイミュード形態に加え、精神科医・羽佐間翔子をコピーした人間態の姿も魅力的だった。170cmを超える長身とスラリとした美脚を引き立てるタイトなワンピースに身を包み、しっとりとした声色で語りかける。まさに大人の魅力をまとった悪役だった。

 なかでも本スピンオフの主人公・チェイスを説得するシーンでは、本編ではありえない攻めた演出が印象的だった。エンジェルはチェイスを誘惑するようにドレスを脱ぎ捨て、驚き倒れた彼に近づいていき、なんとその胸元も大胆に開いている。日曜の朝には絶対に放送できない特撮禁断のセクシーシーンとなっていた。

 

 今回紹介した女性悪役たちを筆頭に、特撮作品における女性幹部の存在は、単なる敵役の枠を超え、物語に深みと多様性をもたらしてきた。

 近年、セクシーな表現が難しくなっているのも事実ではあるが、だからこそ発想と演出の妙によって、これからも視聴者の心を掴んで離さない新たな魅力を持つ女性悪役が誕生していくことを期待したい。

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