
子どもの頃、テレビにかじりついて夢中になった特撮ヒーロー番組。正義のヒーローが活躍する姿に胸を躍らせる一方、美しく、そしてどこか色っぽいセクシーな女性の悪役にドキドキさせられたという人は多いだろう。少なくとも筆者は、彼女たちの登場をどこか心待ちにしていた……。
今回は、当時の子どもたちの心を鷲掴みにした特撮作品のセクシー悪役たちを振り返っていく。もしかしたら、あなたの記憶に眠る「あの悪役」も登場するかもしれない。
※本記事には各作品の内容を含みます
■ビジュアル衝撃度MAX『星獣戦隊ギンガマン』シェリンダ
まずは、1998年放送『星獣戦隊ギンガマン』に登場する女幹部・シェリンダだ。宇宙海賊バルバンの操舵士であるシェリンダは、その圧倒的な色気で当時の視聴者に強烈なインパクトを残した。
演じたのは、90年代に深夜番組『ギルガメッシュないと』などで活躍した水谷ケイさんだ。シェリンダの“ビキニアーマー”のコスチュームは、彼女にとても似合っていた。名前の由来でもある「貝(シェル)」をモチーフに巻き貝や真珠貝をイメージした装飾が施されてれた衣装は、おそらく戦隊シリーズ史上、最も大胆なものではないだろうか。
そんなセクシーな外見とは裏腹に、シェリンダの性格は冷酷そのもの。とくに、ギンガグリーン/ハヤテとライバル関係で描かれることが多く、荒々しくも迫力のある戦いぶりで、当時の子どもたちを震撼させた。しかし、その怖さのなかにも、彼女の強さと孤高の美しさが際立ち、目が離せなかったのを覚えている。
シェリンダは、特撮作品における印象的な悪役だった。時を越えて2024年に配信された『王様戦隊キングオージャー IN SPACE』にも、彼女を彷彿させる女幹部・アイハブが登場。彼女の特徴である貝モチーフは受け継がれていたが、時代の流れもあってか、ビキニアーマーまでは再現されなかったのが少し残念だった。
■愛され悪役の筆頭『炎神戦隊ゴーオンジャー』ケガレシア
2008年放送の『炎神戦隊ゴーオンジャー』に登場したケガレシア。シェリンダが王道の「怖いセクシー悪役」なら、ケガレシアは「チャーミングなセクシー悪役」を象徴する存在だ。
演じたのは女優の及川奈央さん。まず特筆すべきは、そのコスチュームだろう。配役決定前から及川さんをイメージしてデザインされたという衣装で、肩や腕、脚に金属的なパーツを施し、機械生命体らしい無機質さを漂わせながらも、女性らしいボディラインを大胆に強調している。
また、それ以上に印象的だったのはケガレシアのキャラクター性だ。「〜でおじゃる」という独特の口調に、明るくひょうきんな性格。敵でありながら憎めない愛嬌を振りまき、ときには正義のヒロインたちとアイドルユニット「G3プリンセス」を結成するなど、完全に“愛され悪役”としてのポジションを確立。幅広い層の視聴者に人気を博した。