
漫画やアニメの中には、さまざまな死の描写が出てくる。特に昔の作品には、「ここまで描写して大丈夫なの?」と思ってしまうほど過激な表現も多かった。何年経っても頭の中に残っていて、今思い出してもゾッとするような場面もある。
その代表といっていいのが永井豪さんによる『デビルマン』(講談社)だろう。ヒロインの牧村美樹が暴徒によってバラバラにされ、頭部を串刺しにされているシーンはあまりの凄惨さに胸が苦しくなった。
そこで今回は、昭和の漫画で描かれた、多くの読者にトラウマを残した死亡描写を振り返っていきたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■直接的な描写がなくても恐怖だった『コブラ』ドミニク
まず紹介したいのが、寺沢武一さんによる『コブラ』(集英社)のドミニク・ロイヤルだ。ドミニクは銀河パトロールの一員として、海賊ギルドの支配者であるサラマンダーについて調べていた。
その過程で海賊ギルドから命を狙われ、身の危険を感じたドミニクはコブラに助けを求める。だが、それも間に合わず悪徳警官であるドーベルによって処刑されてしまう……。
しかもただ殺されただけではなく、剥がした背中の皮膚を見せしめのように壁に張り付けられていた。背中の刺青もしっかり見えるから、それがドミニクのものであるとすぐに分かってしまう。それを見たコブラは絶望し、「すきな女ひとりまもることができなかった」と号泣していた。この描写からドミニクがどんな殺され方をしたのか……想像するだけでも恐ろしい。
そんな悲惨な死を迎えたドミニクだが、直接的な死の描写はなかったので、「実は生きているのでは?」とむなしい希望も抱いてしまった。しかし、ドーベルが殺して皮を剥いだと語っていることから、死んだのは間違いないだろう。
ちなみにアニメ版では、ドミニクは記憶操作をされて別人として生きていることになっていた。このオリジナル展開は、彼女が魅力的なキャラで、多くの人に「死んでほしくない」と思われていたことのあらわれだろう。
■全身の骨が…『北斗の拳』カーネル
原作:武論尊さん、作画:原哲夫さんによる『北斗の拳』(集英社)には、多くの凄惨なシーンが登場する。北斗神拳の拳法による通常ではあり得ない死に方だったり、一般人の虐殺だったりとさまざまだ。
そんな中でもとりわけ印象に残ったのが、悪の組織GOLANの首領であるカーネルの死に方だ。元軍人のカーネルは南斗無音拳の使い手であり、かなりの戦闘能力を誇るが、ケンシロウにはとても及ばない。ケンシロウが本気を出すと、手も足も出ない状況となってしまっていた。
また、ケンシロウはリンを人質にしたり傷つけたりしようとしたカーネルを、決して許すつもりはなかった。だから秘孔・瞳明を突いて視力を奪ったうえで、「北斗壊骨拳」を食らわせる。
それによってカーネルは、数秒後に全身がスゴい音を立てて歪み、全身の骨が体外に“ボコオッ”と飛び出すことに……。この場面を見た瞬間、筆者はあまりの衝撃で思考が停止した。
それまでは、秘孔を突かれて内側から爆発というパターンが多く、今回もそうだろうと勝手に思い込んでいたからだ。全身から強制的に骨が飛び出すだなんて、想像しただけで寒気がする。