■シャロンの薔薇に感じた「違和感」

 初代『機動戦士ガンダム』の第41話「光る宇宙」で、爆発を起こしたはずのララァとエルメスが「ゼクノヴァ」のような現象に巻き込まれ、『ジークアクス』の世界にやってきたとも考えられるが、それにしては不可解な点もある。

 もしもシャロンの薔薇が、あのときララァが乗っていたエルメスだとするなら、ガンダムのビームサーベルに貫かれた痕跡が見当たらない。

 また、マチュが察知したシャロンの薔薇の中に眠るパイロットスーツを着たララァらしき人物の様子にも違和感がある。初代『ガンダム』でエルメスが爆発を起こす直前、ララァの着けたヘルメットが砕けて割れるシーンが描かれていた。

 しかしマチュの見たシャロンの薔薇に眠るパイロットスーツ姿の少女のヘルメットは、しっかり原形を保っている。

 もちろんエルメスやララァのヘルメットが破壊される前に時間が巻き戻っていたり、不思議な力で修復されたりした可能性もゼロとはいえないが、どうなのだろうか。

 『ジークアクス』世界のララァが見た、何度繰り返してもシャアが助からないという夢の発言を踏まえると、このシャロンの薔薇は『機動戦士ガンダム』でアムロが破壊したエルメスとは別の世界線からやってきた可能性も十分考えられるだろう。


 『ジークアクス』においても重要人物になりそうなララァ。『機動戦士ガンダム』のなかで彼女が戦死した第41話には、アムロが「人はいつか時間さえ支配することができるさ」とララァに語りかけ、一方のララァは「アムロ……時が見える」と答える場面がある。

 そして『ジークアクス』世界のララァが語った「何度やり直しても大切な人を守ることができない」というセリフは、まるでSFのタイムループものを連想させるセリフにも聞こえた。

 そう考えると『ジークアクス』の物語では、“時間”という概念が重要な意味を持ってくるのかもしれない。

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