王騎だけじゃない! 『キングダム』その死が信の飛躍につながった…散っていった武将の「最期の金言」の画像
アニメ『キングダム』第6シリーズビジュアル  ※画像はアニメ公式サイトより ©原泰久/集英社・キングダム製作委員会

 2025年10月より、アニメ第6シリーズの放送が決まった、原泰久氏による大人気漫画『キングダム』(集英社)。主人公・信がだんだんとたくましい武将になっていく様子や、彼が率いる「飛信隊」の活躍には毎回興奮してしまう。

 戦争孤児の信は、下僕として一緒に育った漂と天下の大将軍になる夢を描いていた。道半ばで死んでいった漂が涙を浮かべて伝えた「俺を天下に連れて行ってくれ」の言葉を胸に、信は果敢に戦場を駆け抜け、原作では遂に将軍の地位にまで上り詰めている。

 そんな信も、当初は一兵卒で初陣を迎えていた。彼が短期間でここまで大きく成長できたのは、漂のように彼のそばで死を迎えた男たちの死に様や、彼らの残した言葉が大きく影響しているだろう。

 そこで、信や飛信隊の成長のきっかけにもなった、男たちの最期の金言を紹介したい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■「素質はありますよ 信」敗れた李牧の強さを認め、飛信隊の飛躍を促した「王騎」

 信の成長を語る上で、かつて秦国六大将軍の一人だった王騎の存在は欠かせない。

 侵略してきた趙国との戦(馬陽の戦い)にて、秦軍の総大将を務めた王騎。信も百人将として参戦し、途中、趙将・馮忌を討つ命を受けて見事完遂。この時、信の百人部隊は「飛信隊」と名を授けられた。

 王騎は敵本陣が後退せざるを得ない状況を作り、趙軍総大将で因縁の相手でもある武神・龐煖との一騎討に挑む。だが、実はこれは趙国の新しい三大天・李牧の緻密な策略だった。

 趙本陣には李牧率いる新手の援軍が4万もいるのに対し、王騎側はわずか6千。さらに劣勢だった龐煖が息を吹き返し、王騎自身も死線を繰り広げていた。

 遂に龐煖にとどめを刺そうとした瞬間、王騎は背後から魏加により弓矢で狙撃され、逆に胸を貫かれてしまう。まさかの自体に秦国兵士たちが絶望し武器を落とすなか、王騎は諦めることを許さない。

 致命傷を負ってもなお、矛を向ける王騎の威力に驚愕した龐煖は「貴様は一体 何者だ」と問いかける。すると王騎は笑いながら「天下の大将軍ですよ」と、言い放つのだ。涙を流しながらこれを見ていた信の視線の先には、自身が目指す天下の大将軍の姿があっただろう。

 壊滅状態のなか、王騎は信を含めた配下により窮地からの脱出に成功。その際、馬に乗りながら「将軍の見る景色」を信に教えた。

 死の間際、王騎は副官・騰や蒙武にあとを頼み、信には「皆と共に修羅場をくぐりなさい」「素質はありますよ 信」と語りかける。そして、矛を託し馬上で亡くなった。

 その後、信率いる飛信隊は一丸となり修羅場をくぐり抜け、急成長を遂げていくこととなる。

■「火を絶やすでないぞォ」盾を授けて咸陽を守り抜くことを促した「麃公」

 王騎以外に信が心酔した人物といえば、秦国大将軍・麃公も忘れられない存在だ。麃公は信が初陣を迎えた蛇甘平原の戦いでの総大将であり、千人将に昇格した「合従軍編」では一緒に酒も飲んでいる。

 秦国の国門・函谷関で合従軍を退けた秦軍だったが、李牧は別働隊を率いて咸陽を目指していた。その動きをいち早く察知した麃公は、5千の兵を連れて飛信隊とともに李牧の背後を急襲する。

 しかし、李牧は「流動」という戦術を使って麃公軍を分断し、徐々に兵力を削っていく。麃公はその裏をかいて李牧の前に現れるも、その場にまたもや龐煖が登場。さすがの麃公もその武力に追い詰められ、さらに「流動」が機能しているゆえに援軍も届かず、孤立してしまうのだ。

 ここで信はなんとか助けに行こうとするのだが、その姿を見た麃公は咸陽の方角を指差し「前進じゃァ」「ここは貴様の火を燃やし尽くす場所に非ず」「咸陽へ行け 童 信」と告げ、自身の盾を信の元へ放り投げた。

 そして、左腕ごと腹を斬られるも龐煖の右腕をへし折り、最期に「童 信」「火を絶やすでないぞォ」と伝えたのち、とどめを刺されて命を落とす。

 すかさず麃公の敵討ちに行こうとした信だが、麃公の盾の意味は咸陽を守ることだと壁に諭され、その後は蕞攻防戦で秦王・嬴政とともに咸陽を守り抜く。

 それからの信は戦場で「火」を起こし、戦局を覆すようになっていく。麃公が信に伝えた「火」とは、信にとって人の本質でもあった。作中ではその後も“命の火”と“思いの火”として存在していくこととなる。

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