■わずか数秒で視聴者をドキリとさせる超短編
『痛覚』もまた、視聴者を驚かせたショートムービーだ。「ここに人差し指を当ててください。さあ、テレビの前に来て、さあ、どうぞ」というナレーションとともに矢印で示された黒い点が映され、視聴者に実際に画面に指を置くように指示される。するとその点から血が流れてきて、自分の指から血が出たかのように錯覚させられるビックリ系作品だ。
このように短い映像で視聴者をビックリさせる「15周年」の超短編。
『サイコキネシス』は画面に4つの人形が映し出され、「好きな人形を一つ選んでください。念じて、見つめて、念じて……」というナレーションが流れる数秒の映像。
視聴者がその指示通りに画面をじっと見つめる中、しばらくすると左から2つめの人形が急に爆発する。その仕組みは謎であるものの、『サイコキネシス』のタイトル通り、なぜか多くの視聴者が左から2つめの人形を選んでしまっていたようで、ネットでは当時相当驚いたという経験談が語り継がれている。
『痛覚』と『サイコキネシス』は、実はそれぞれ第1・2シリーズで放送された『人差し指を当ててください』と『4つのモニター』というアバンストーリーのリメイク作。その他のリメイク作品としては、「使用禁止」のトイレに入った男性がトイレに流される『トイレっと』や、横断歩道の黒いところを踏んでしまった男性が底なし沼に引き込まれる『横断歩道』も放送されており、『世にも奇妙な物語』の番組世界の奥深さを感じさせる超短編となっている。
この他にもシュールで時にはクスッと面白く、インパクトが大きかったどれも忘れられない超短編ばかり。結果「15周年の特別編」は『世にも』の中でも忘れられない回になった。
なお、『世にも奇妙な物語』ファンの間で語り継がれている松本潤主演の『イマキヨさん』もこの日の放送だった。家に突然自分にしか見えないおじさん「イマキヨさん」が居座り、4つのルールを破るとイマキヨさんが増えたり、彼につきまとわれたりするというもの。またイマキヨさんを演じた酒井敏也が増殖する画はインパクト大で、最後には松本演じる主人公自身がイマキヨさんになってしまうという展開は怖くも面白いと評判だった。
「15周年の特別編」以外でも超短編のストーリーが放送されたことがあるが、実は筆者はこの超短編がお気に入りである。本編のストーリーの奇妙さを引き立てるこの超短編、ぜひ今後も放送してほしいものだ。