
1990年にレギュラードラマとして放送を開始し、その後は特別編という形で年に2度放送されているフジテレビ系『世にも奇妙な物語』。ホラーやサスペンス、ファンタジー、シュールコメディなど様々なジャンルのストーリーで視聴者を奇妙な世界に誘ってきた。
5月31日には、放送35周年を記念して「もう一度観たい」と熱望されてきた伝説エピソードがタモリさん演じるストーリーテラーによって選ばれ、一夜限りで復活する『世にも奇妙な物語35周年SP~伝説の名作 一夜限りの復活編~』が放送。2001年に木村拓哉さん主演で放送された『BLACK ROOME』をはじめ、2002年に大杉漣さん主演で放送された『夜汽車の男』、1990年の織田裕二さん主演作『ロッカー』、2005年の妻夫木聡さん主演作『美女缶』、2019年の斉藤由貴さん主演作『恋の記憶、止まらないで』の、名作5本がリバイバル放送された。
ストーリーを当時から知っている人には懐かしく納得のエピソードばかりで、リアルタイムではこれらの作品を知らなかったという人にもきっと忘れられない一夜になったはず。ジャンルも様々で、まさに『世にも』の真髄といえる作品ばかりだ。
■「15周年」の見どころだった10本の超短編
今回は傑作選という形の放送だったが、周年を記念した『世にも』の中で忘れられない回がある。2006年に放送15周年を記念した「15周年の特別編」が放送されたのだが、普段の『世にも』とは違って、なんとも異色だったことを覚えている視聴者も多いのではないだろうか。
通常は4、5本程度のストーリーが放送される同番組だが、この日は15周年に合わせて、ストーリー5本と超短編10本の15本立てで放送された。
なんといってもこの10本の超短編が普段の『世にも』とは雰囲気が全く違う。
超短編の中でもストーリー仕立てのものと10秒ほどの視聴者も参加できて驚かされるものなどがあり、通常のストーリーの間に挟まれるそれらが魅力たっぷりだった。
たとえば『山田祭り』という1本。
山田という男性が朝カレンダーを見ると、今日の日付に「山田祭り」と書かれていた。家の外には、なぜか山田を称える人であふれており、主人公は胴上げされ調子に乗るが、その後みんなからボコボコに殴られる。実はカレンダーには「山田祭り」ではなく「山田血祭り」(血という文字が見えないほど小さかった)と書かれていたというもの。たった1分32秒のストーリーだが、展開の読めなさや意外なオチの面白さが今も人気の作品だ。