『鬼滅の刃』煉獄さん「以外」でもめっちゃ泣ける…劇場版『無限列車編』の涙腺崩壊シーン・プレイバックの画像
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 炎柱・煉獄杏寿郎の誕生日前日である5月9日から、全国の映画館では5週間限定で『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のリバイバル上映が行われている。興行収入404.3億円を記録し、国内映画の歴代興行収入ナンバーワンとなった社会現象作を劇場でもう一度楽しみ、そして涙したいという人は多いだろう。

  同作の見どころといえば、何といっても煉獄と上弦の参・猗窩座の戦いとその結末だ。1時間57分ある映画のうち後半部分に登場する猗窩座は、その強さのインパクトがかなり大きく、彼の前で果敢に戦う煉獄さんの姿に泣かされたファンは多いはず。

 しかし、注目されがちな煉獄杏寿郎VS猗窩座以外にも、『無限列車編』では感動的なシーンがいくつもあった。今回はリバイバル上映中の『無限列車編』から、煉獄さん以外の「こんなに泣ける!」名シーンの数々を振り返りたい。

※本記事は作品の内容を含みます。

■「ああ、ここにいたいなあ…」

 まずは、映画の前半で電車を乗っ取り、下劣な戦い方で炭治郎らに苦戦を強いた下弦の壱・厭夢とのバトルシーン。

 厭夢の夢を見せる血鬼術によって眠らされた炭治郎は、馴染みのある我が家へ辿り着いていた。あれほどまでに会いたかった、今は亡き家族に再会し、弟たちを抱きしめながら大きな声をあげて泣く炭治郎。炭治郎は絶対に悪くないのに、「ごめんな」と謝る様子には心が痛くなる。

 その後も幸せな夢は続く。母の何気ない「炭治郎の好きなお煎餅を焼いてあげるからね」というセリフにも泣けてしまう。なんだか自分自身の小さな頃すら思い出すような、ありふれた母の優しさだ。その会話に楽しそうに加わる賑やかであどけない弟妹。これこそが炭治郎が望んでいた当たり前の幸せであり、それが今はもうどこにもない。現在の彼が置かれた環境と、その後の過酷な戦いを知る観客にとっては涙なくして見られない切ないやりとりだ。

「ああ、ここにいたいなあ……ずっと」と切実につぶやく炭治郎の姿を見て、物語序盤にしてもう涙腺が崩壊したという人も多いだろう。望んでもいないのに戦いに身を投じざるを得なかった炭治郎のつらさも全て伝わってくる。

 序盤では、そんな炭治郎の夢と並行してもう一つのことが起こっていた。魘夢の指示に従い、無限列車内で4人の若者が炭治郎、善逸、伊之助、煉獄それぞれの無意識領域に入っていたのだ。

 炭治郎の精神の核を破壊するために、心の弱いところにつけ込まれてしまった青年がいた。彼は結核を患い、これまで毎日を絶望して過ごしていたようだ。そういった現実から逃げたい気持ちがあったのか、魘夢に幸せな夢を見せてもらうために命令を聞いていた。

 しかし、この結核の青年は、炭治郎の無意識領域の美しさとあたたかさに触れ、さらには炭治郎の光の小人に導かれて炭治郎を倒そうという気が起きなくなる。

 派手なセリフや音楽があるわけでもない、しっとりとした静かなシーンだが、心に響く感動シーンだった。

 彼もまた炭治郎に出会ったことで救われた一人なのだろう。彼を取り巻く状況や病気は好転したわけではないが、彼はこれからの人生の過ごし方が変わってくるに違いない。そんなことを想像するとじんわりと泣けてくる。

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