■「かわいい」から「クール」まで演じた西内まりや

 リメイク版『GTO』は、その後スペシャル版が3作放送。そのヒット後、2013年8月クールに放送され、西内さんの地上波初主演ドラマとなったのが、吉河美希氏による『週刊少年マガジン』連載漫画を原作とした『山田くんと7人の魔女』(フジテレビ系)だ。

 西内さんは優等生のヒロイン・白石うららを演じるのだが、物語の序盤で学園きっての問題児で不良少年・山田竜と、階段から落ちてキスしたはずみに2人の身体が入れ替わってしまう。

 心が男性に入れ替わった西内さんは、男子トイレで自分の体を確認したり、女子の体をムフフと想像したり、雑な仕草やガニ股で廊下を走ったりとやりたい放題。またもコミカルな役柄だが、その一方、華麗なアクションシーンも披露している。

 同作は西内さんの2役芝居もさることながら、主演を務めた山本裕典さんとのキスシーンの多さも見どころ。男言葉でしゃべる様子も新鮮で、ファンにはたまらない西内さんの代表作となった。

 このように、多くのキャラを演じた西内さんだが、彼女の「実写化出演作」として、前述した映画『CUTIE HONEY -TEARS-』が欠かせないだろう。

 実写版『キューティーハニー』では、庵野秀明監督による佐藤江梨子主演映画や、2007年のテレビ東京放送の原幹恵さんの主演特撮ドラマ『キューティーハニー THE LIVE』などがあるが、西内さんの『キューティーハニー』は、とことんリアルでスタイリッシュな世界観が特徴。派手なウィッグも被らず、衣装も露出が少ない黒を基調とした今風なデザインで、物語も近未来的。世界に新しいキューティーハニーを印象づけた。

 なんといっても女子の憧れるスラリとしたスタイルが作風にピッタリあっており、作中での衣装チェンジの多さもモデルのスタイルブックを見ているようで美しい。さらには主題歌『BELIEVE』も西内さんが歌っている。

 西内さんの演じてきた作品には体当たりの役が多かったように思う。「かわいい」も「キレイ」も「クール」も、そして全力でコメディまでこなしてしまう姿は女優として確かな信頼感があった。引退してしまうのが心から惜しまれる。

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