■ミライは息子と知らずに処刑に赴く夫ブライトを見送る

 ミライ・ヤシマは、セイラやフラウほど、アムロと深いかかわりがなかった女性キャラクターだ。18歳にしてホワイトベースの操艦の任されるというかなり優秀な女性だったが、控えめな性格であまり目立たない存在でもあった。その一方、『ガンダム』ではブライト・ノア、スレッガー・ロウ、カムラン・ブルームなど、多くの男性に思いを寄せられた“モテ女性”だったのも事実だ。

 一年戦争を生き延び、『機動戦士Zガンダム』や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などでもその姿が描かれているミライ。しかし、ミライが最も厳しい状況になってしまうのが、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』だ。この作品の主人公であるハサウェイ・ノアは、アムロやシャアの生きざまに大きく影響された青年だ。

 このハサウェイはミライとブライトの息子であり、様々な経験を経て、反地球連邦政府組織「マフティー」のリーダーとなってしまう。しかし、彼は志半ばで拘束され、処刑される。

 しかも処刑を任されたのは、地球連邦宇宙軍第13独立艦隊司令で、彼の父親であるブライトという最悪の状況になる。ブライトもミライも、マフティーのリーダー「マフティー・ナビーユ・エリン」の正体がハサウェイであることを知らされておらず、ミライは処刑に向かうブライトを見送る。

 実際にはブライトは処刑には参加せずに別室で待機していた。しかし、その後の新聞などでブライトが実子を処刑したと報じられる。血統よりも正義を重んじた英雄という扱いになったが、ブライトたちは政治に利用されてしまったのだ。

 この報道でブライトとミライがどう感じたのかは描かれていない。ミライがハサウェイの死をどう受け止めたのか。あまりにも悲しい結末が、ミライには待っているのかもしれない。

 セイラですらも穏やかな日々を送っている中で、ミライに過酷な現実が待ち構えているのは、ファンとしては非常に心苦しかった。

 セイラ、フラウ、ミライといった初代ガンダムヒロインたちは、アムロ・レイという存在に否応なしに影響を受けている。穏やかな生活をしていたり、支援活動をしていたり、悲惨な未来が待っていたりと、彼女たちの「その後」を知ると「ガンダム」の世界を深く知れるだろう。

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