
作品発表から50年以上が経ってなお、新たなアニメ映画が上映されるなど、今でも高い人気を誇る池田理代子氏の『ベルサイユのばら』。ドラマチックなストーリーに美しく繊細な作画など本作の魅力をあげればきりがないが、中でもオスカルとアンドレ、アントワネットとフェルゼンの愛の行方に夢中になった人は多いだろう。
しかし情熱的な男性キャラは、アンドレやフェルゼンだけではない。今、あらためて読み返してみると、ほかの男性キャラもかなり魅力的であることに気づかされる。そこで今回は、サブキャラだったけど、実はかなり魅力的だった男性キャラのいい男ぶりを振り返ってみよう。
※本記事には作品の内容を含みます
■アンドレのライバルだが悪い許婚ではなかった「ジェローデル」
ジェローデルは、オスカルが近衛連隊長を務めていたときの副官だ。のちにオスカルの父・ジャルジェ将軍の策略でオスカルの許婚になるが、彼は昔からオスカルのことを愛していたと言い、甘い言葉でオスカルに迫っていく。
その際のジェローデルは、オスカルを愛するアンドレに対し挑発的な言動をするなど、ややヒール的な立場にも見えた。しかしオスカルが本気でアンドレを愛していると知った時は「身をひくことがただひとつの愛の証……」と、潔く彼女への想いを断ちきっている。
また、のちに平民議員の味方となり事実上敵になったオスカルに対しても、銃を向けることなく近衛隊の退却を命じるなど、最初から最後までオスカルをサポートしている。
ジェローデルはキザなイケメンというイメージもあるが、貴族的な紳士で教養もある男性だ。オスカルとは結ばれなかったものの、愛した人を一途に守り抜く彼の態度を考えると、ジェローデルと結婚してもかなり幸せになれたのでは……とも思ってしまう。
■『ベルばら』きってのワイルドさ! とても頼りになる「アラン」
アランはオスカルが率いるフランス衛兵隊の班長であり、オスカルと出会った頃は何かと「女のいうことなんか聞けるか!」と反抗心をむき出しにしていた人物だ。
しかしオスカルとの対決や、彼女が持つ部下への誠実な思いに触れるうちに、次第にその姿勢をあらため、彼女に惹かれていく。
アランは仲間がピンチのときは真っ先に行動したり、オスカルに対して無理やり唇を奪うなど、作中でもかなり野性味あふれる男性だ。『ベルばら』に登場する男性は、女性に対し甘い愛の言葉を囁くタイプが多いが、アランは言葉より行動で示すタイプだろう。
またアランは当初はいがみ合っていたアンドレとの絡みも多く、次第に悪友のような関係へと変わっていく。悪口を言いながらも目が見えにくくなってしまったアンドレをさりげなくサポートする姿には心が和んだ。
アランは友人や兄貴分、そして恋人にしてもとても頼りになる男性だと言えるだろう。