
ハメ技、バランスブレイカー、チート戦法……対戦ゲームには仕様の穴を突いたような、強すぎるコンボ技が付きものだ。
モンスター対戦ゲームの金字塔『ポケットモンスター』シリーズ(任天堂)でも、こういったコンボ技がプレイヤーの間でよく編み出されてきた。「ポケモン対戦の歴史はコンボの発明と対策の歴史」と言っても、過言ではないだろう。
そこで今回は平成時代の『ポケモン』シリーズに焦点を当て、攻略困難だった「極悪コンボ」を振り返ってみよう。あなたが愛用した戦法はあるだろうか?
※本記事には各作品の内容を含みます
■バグ? それとも仕様通り?『赤・緑』吸収ダメージが跳ね上がった…「どくどく」×「やどりぎのタネ」
まずは、すべての始まり『ポケットモンスター 赤・緑』から見てみよう。シリーズ第1作ゆえバトルのバランスもまだ粗削りで、多数のバグも存在した本作。
どこまでがゲーム上の仕様で、どこからが想定外のバグか、いまいち判断がつかない部分もあるのだが、その中でも際立っていたコンボが、「どくどく」と「やどりぎのタネ」を組み合わせた“吸収ダメージインフレコンボ”だ。
相手を猛毒状態にする「どくどく」は、ターンごとに毒ダメージが少しずつ増えていく技だ。一方、「やどりぎのタネ」は、毎ターン相手からHPを奪って自分のHPを回復させる、くさタイプ専用の技である。
どちらもHPをじわじわ削っていくいやらしい技だが、同時に使うとなぜか、「やどりぎの吸収ダメージがターンごとに増加していく」という謎の現象が起こる。「どくどく」の毒ダメージが増えていく傍らで「やどりぎ」も強化され続け、相手の攻撃を受けてもインフレした吸収ダメージで、すべてチャラになるわけだ。
最後は相手のHPを完全に吸い尽くし、自分のポケモンは完全回復して勝利となる。当時は不遇気味だったくさタイプしか使えない点や、コンボの完成に時間がかかる点から、対人戦ではあまり使われなかったのが幸いだった。
■バトルをさせてくれ!『赤・緑』「こうそくいどう」×「ほのおのうず」
再び『赤・緑』から、今度は拘束技の仕様を利用した「こうそくいどう」と「ほのおのうず」のコンボを紹介しよう。
本作の拘束技は、ほのおタイプの技「ほのおのうず」や、くさタイプがよく使う「まきつく」などがその代表で、相手に継続ダメージを与えつつ、2〜5ターンの間はいっさい行動させないという仕様だった。
拘束技で与えるダメージは微々たるものなので、行動制限も本来はあまり問題にならない。では、ポケモンのすばやさを上げる「こうそくいどう」を使い、常に先手で「ほのおのうず」を連発すればどうなるだろうか?
答えは、“無限ループ”が完成する。「ほのおのうず」の効果中、相手は拘束効果が終わるまでじっと耐えるしかない。だが、すばやさのステータスが1でも多いほうが先制できるというバトルの仕様上、拘束が解けた直後に先手で「ほのおのうず」を使えば同じことを繰り返せるのである。
相手は何もできず「ほのおのうず」の継続ダメージでやがて倒される……以上がこのコンボの全容だ。対人戦では、伝説の鳥ポケモン・ファイヤーに「どくどく」を覚えさせた上で採用されることもあった。当時は「こんなのバトルじゃない」「嫌がらせ」とまで言われていた、本作指折りの極悪コンボである。