■諸伏高明の初登場エピソード
2009年のアニメ557話「危険な二人連れ」と、続くエピソード558~561話の「死亡の館、赤い壁」シリーズも、視聴しておくと映画の解像度がグッと濃くなる重要エピソードだ。「死亡の館、赤い壁」では諸伏高明が初登場する。
諸伏は東都大学法学部をトップで卒業したのに、キャリア試験を受けずにノンキャリアで県警本部入りした変わり者。大和が行方不明になった事件を単独で追い、強引な行動をしたことが原因で所轄に異動となったため、「諸葛亮孔明」にかけて「ショカツのコウメイ刑事」と呼ばれていた。このストーリーでは、大和と高明が小学生からの幼馴染でありライバル関係であることが明かされる。
また諸伏に関してはさらに複雑な人間関係がある。黒の組織にスコッチとして潜入し、殉職した公安の警察・諸伏景光(ひろみつ)の兄なのだ。
2020年放送の第983、984話「キッドVS高明 狙われた唇」や、2021年放送の第1003〜1005話「36マスの完全犯罪」ではそのことに触れられている。この景光こそ、安室透こと降谷零の幼なじみで親友、かつ警察学校の同期であり「36マスの完全犯罪」では過去に高明と降谷との間にも面識があったことが描かれている。
『隻眼の残像』では降谷やその協力者である風見も登場するので、公安の人間関係もさらっておくと整理がしやすいだろう。
このほか、長野県警のメンバーがアニメに登場するのは、2012年の第652~655話「毒と幻のデザイン」、2014年の第754~756話「赤い女の惨劇」、2016年の第81~812話「県警の黒い闇」、2024年第1123~1124話「群馬と長野 県境の遺体」と、シリーズ全体からするとそう多くない。押さえておくとよりバッチリだろう。
なお、『名探偵コナン』公式YouTubeでは、長野県警に関するエピソードが期間限定で順次無料配信されている。こちらをチェックしていくのも手だ。
「今年のコナンは上級者向け」という声も多い本作。しかし大人も唸る複雑な人間関係や思惑だけでなく、例年のコナン映画に見られるド派手な演出ももちろんある。ぜひ事前にアニメをチェックし、長野県警の魅力にハマってほしい。