
2025年4月18日に公開された劇場版最新作『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』が、公開10日間で観客動員430万人、興行収入63億4000万円を突破したことが発表された。
コナン映画は、毎年取り上げられるメインキャラが変わるのが魅力のひとつ。『隻眼の残像』でメインとなるのは長野県警のメンバーと毛利小五郎だ。一見すると異色の組み合わせのようにも感じられるが、両者のかっこよさと大人っぽさが存分に詰まった作品となっている。
特に長野県警は、1996年にアニメ放送が始まった『名探偵コナン』の中でも比較的登場シーンが少ないメンバーたちである。劇場版シリーズにも過去一度だけで、2009年の第13作『名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)』で事件を追う捜査メンバーとして登場。メインで取り上げられるのは今回が初めてとなる。
コナン映画は、日頃からアニメ版を追いかけていないような視聴者でも楽しめる内容となっている。だが、今年ばかりは、事前に彼らの人間関係を知識として把握しておいたほうが、作品を何倍も楽しむことができるといわれている。
そこで今回は、映画を劇場で楽しむ前にアニメで観ておきたい、「長野県警」のエピソードを紹介したい。
※本記事は作品の内容を含みますが、劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』の内容には触れていません。
■大和敢助と上原由衣が初登場する「風林火山」シリーズ
まずは、長野県警の大和敢助と上原由衣が初登場する、2008年に放送された第516、517話「風林火山」シリーズだ。
大和は隻眼で杖をついたガラの悪い謎の警官として描かれ、上原は事件の被害者の妻として登場。事件が進むにつれて、大和が左目と左足を負傷する原因となった過去の事件や、かつて刑事だった上原との過去の関係にも触れられている。
『隻眼の残像』を見るにあたって知っておくべき基本の人間関係が、このストーリーには詰まっている。
最も押さえておくべきポイントは、このときの上原が警察を一度やめていることだろう。
上原は幼なじみである大和に好意を抱いていたが、彼は10か月前に雪崩にあい長期間行方不明になってしまう。そして大和が死んだと勘違いをした彼女は、二人の共通の知人で、刑事としての憧れの存在だった甲斐玄人の転落死事件の真相を探るため、虎田義郎と結婚。そして彼が被害者となる事件が起き、未亡人となる。
大和と因縁がある様子から、彼女が元警官と明かされるまでは視聴者も大いに混乱したことだろう。上原はのちに大和のすすめで復職するが、初登場時からなんとも複雑な関係が描かれている。