■はじめて俊がグラついた魔性の女…!? 夢魔「サリ」
夢魔のサリはアロンの指示のもと、俊の気持ちを自身の夢魔の力で自分に引き寄せようとしたキャラだ。
サリの力はターゲットとなる人物に夢を見せ、それを現実の記憶として植え付けるというものだ。これにより俊は幼い頃にサリと知り合いだったと勘違いし、転校生として現れた彼女に徐々に惹かれていくのであった。
硬派で女性になびかないイメージの俊が、サリの思惑通りにフラッと近づいていく展開は作中でも珍しかった。当時の読者はサリに「余計なことをするな!」とヤキモキしただろう。
しかしサリの行動は、のちに蘭世に知られてしまう。“真壁くんの気持ちをあやつることだけはできない”という蘭世に対し、自分の行動を顧みたサリ。俊への想いを断ち切り、これまで見せた夢や自分の存在をすべてを消去して俊の前から去っていくのだった。ただ1つ「俊と蘭世が映画を見る約束をした」という夢の置き土産を残して。
その後もサリは夢魔としての力を駆使し、蘭世たちのピンチを何度も救っていく。当初サリは蘭世にとって敵キャラともいえる存在だったが、1人の男性をめぐって芽生えた友情は、のちに固い絆となって物語を盛り上げていくのである。
このように『ときめきトゥナイト』に登場する当て馬キャラたちは、登場したときは嫌な奴という印象を残しつつも、その後は仲間になっていく。根っから意地悪なキャラクターが登場しないのも、本作の魅力だろう。
昭和から平成にかけて一世を風靡した『ときめきトゥナイト』は、現在、集英社の少女漫画雑誌『Cookie』にて『ときめきトゥナイト それから』として続編が連載されている。
すっかり大人になった蘭世や俊はもちろん、今回紹介したキャラたちのその後もたっぷり紹介されているので、ぜひチェックしてみてほしい。