■あまりにも後味が悪い「陣川という名の犬」

 特命係第3の男・陣川公平の恋の哀しき結末を描くseason14の第12話「陣川という名の犬」。このエピソードは、惚れっぽい陣川がある女性に恋をするというお決まりのパターンで始まる。しかし、その女性が殺されてしまい、陣川は警察官としての立場を忘れて暴走してしまうのだった。

 監察官の大河内春樹の聴取を受けた右京と冠城亘は、陣川が事件に巻き込まれた可能性を知る。そして、陣川がプロポーズまでした女性が殺害され、彼がその犯人を追っていると気が付く。

 陣川の想い人であったコーヒーショップの女性店主・矢島さゆみは顔を潰され、惨殺されていた。彼はその犯人を見つけ出し、めちゃくちゃに殴ったすえ、殺そうとする。右京と冠城が到着した時には、すでに瀕死の重傷を負わせていたが、殺す寸前で彼を止めることに成功する。

 事情聴取の際、「僕はあいつを殺したい」という陣川に対して、「元の君に戻るんです!」と諭す右京の表情も悲しく映った。それまではコミカルなエピソードが多かった陣川の登場回。しかし、このエピソードでは陣川が殺人者になるのではないかという不安とともに、常に重苦しい雰囲気が漂っている。

 聴取の場面で涙を流す陣川の姿は、胸を締め付けるほどに切ない。最後にコーヒーを飲みながら彼女の真意を知るシーンには多少の救いもあるものの、後味の悪さは残ったままのまさに「重すぎる回」だった。

 

 時には後味が悪すぎる結末を迎えるエピソードもある『相棒』。しかし、そうした「重すぎる回」は、スカッとする結末のエピソードより記憶に残ったりするものだ。

 中には後味の悪さとともに、社会に根付いている問題点を浮き彫りにするようなエピソードもある。重すぎる展開の中に込められたメッセージも読み取ることで、より『相棒』という作品を深く味わえるはずだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3