■甲斐享はダークナイトとして懲戒免職
神戸の栄転により再び1人になった右京は、ある若手の刑事をスカウトする。それが3代目の相棒となった甲斐享(演:成宮寛貴さん)である。甲斐は「カイトくん」と呼ばれ、右京直々の指名ということもあって早い段階から信頼関係を築いていった。
警察庁次長の息子という立ち位置にあるカイトは、さまざまな苦悩を見せながら3シーズン出演した。若手刑事として薫のように情熱をもって事件に挑むこともあれば、神戸のようにクールで一歩引いたような言動もあるという、それまでの相棒を融合させたような人物でもあった。
カイトの成長を見守る右京の姿も多く、彼の犯罪者への強い処罰感情をたしなめるシーンもあった。しかし、その処罰感情は思わぬ方向へと向かってしまう。彼が特命係を去るのはseason13最終話「ダークナイト」でのことだ。ダークナイトとは法で裁けない犯罪者を襲撃し、死なない程度の暴行を加えるという犯罪者。2年もの間、犯罪者の粛清を続け、ネット上では英雄視する声も出ていた。
しかし、ダークナイトの模倣犯による殺人事件が発生し、特命係もその事件に巻き込まれていく。やがて右京は衝撃の真実にたどり着いた。なんと、ダークナイトの正体はカイトであり、右京に追い詰められてついに自供を始めたのだ。
自分のミスで犯行が露見したことについて「マヌケだな…お話にならない」と悔やむカイトに、「君が悔いるべきはそこじゃないだろう!」と声を荒げた右京。2人は出会ったころから関係性が良好だっただけに、このやりとりはあまりにもやるせなかった。
カイトは逮捕され、懲戒免職の処分を受ける。まさかの相棒が犯罪者となって交代するという、後味が悪すぎる結末となってしまった。
■冠城亘は公安調査庁へ
カイトが特命係を去り、右京も処分される中で特命係にやってきたのは、法務省からの出向という異例の形で特命係に来た4代目相棒・冠城亘(演:反町隆史さん)だ。彼は官僚でありながらルールに縛られない性格で、右京に強い興味を持つ人物だった。
当初は右京も警戒心を持っていたが、その後7シーズンにわたって相棒を務めている。彼を語る上で欠かせない存在が、社美彌子(演:仲間由紀恵さん)だ。彼女は警察庁のキャリア組であり、内閣情報調査室などにも出向している切れ者である。
しかし、彼女にはロシア人スパイとの間に子どもがいるという、警察官僚としては危険すぎる秘密があった。この秘密は社親子を危険にさらすリスクがあり、冠城はマスコミやロシア政府などから彼女たちを守ろうする姿をたびたび見せていた。
冠城が特命係を去るのは、season20最終話「冠城亘最後の事件―特命係との別離」でのことだ。法務省時代の上司である日下部彌彦から「公安調査庁への移籍」という提案をされ、これを引き受けることになる。その背景には公安調査庁の方が社親子を見守ることができるという考えもあった。
彼は右京が「もう少し……一緒にやりませんか」と引き留めるような発言をした唯一の相棒でもある。その言葉に対し冠城は「最高のはなむけの言葉です。長い間お世話になりました」と万感の表情であいさつを交わし、特命係を離れていった。このコンビは知性とウィットにあふれるやり取りで好評を博していただけに、別れのシーンは達成感と哀愁が漂うものとなった。
ダークナイトの一件はあまりに衝撃だったため、『相棒』ファンでなくても知っている人がいるかもしれない。また、神戸のように交代後も登場したり、薫のように返り咲いたりするパターンもある。
右京と相棒たちの関係性も『相棒』の魅力となっていて、相棒交代の際にはニュースサイトでも大きな話題として取り上げられるほどの注目度だ。歴代相棒の交代理由にも注目してみると、『相棒』ワールドをより楽しめるだろう。


