大人気刑事ドラマ『相棒』は、10月15日から最新シーズンであるseason24が放送開始され、大きな話題を呼んでいる 。引き続き、水谷豊さん演じる主人公・杉下右京の“相棒”を務めるのは、寺脇康文さん演じる亀山薫。初代相棒であり5代目相棒でもある彼は、初回から右京との息ぴったりなやりとりでファンを沸かせた。
さて、右京の歴代相棒は亀山薫を含めて4人存在し、それぞれの事情によって特命係を去っていった。その交代理由も、『相棒』の物語をより深いものにしているといえるだろう。 海外移住、栄転、逮捕……さまざまな理由で特命係を去った歴代相棒の交代理由を振り返っていこう。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます
■亀山薫はサルウィンで教師に
pre seasonからseason7の第9話まで初代相棒を務めた亀山薫。彼は右京と強い絆で結ばれており、特命係として数々の難事件を解決してきた。そんな薫に転機が訪れたエピソードが、season7の第1話、第2話で描かれた「還流」である。
この事件では薫の旧友である兼高公一が被害者となる。彼はNGOスタッフとして南アジアの小国・サルウィンで活動していて、サルウィンの貧困をなくすために行った不正が原因で殺されてしまった。
薫はこの事件をきっかけに、警察を退職する決意を固めた。彼は兼高の遺志を継ぎ、サルウィンで教師として活動することを右京に伝え、異国の地へと旅立ったのだ。
「笑わないでくださいね、本当に教えてあげたいのは正義です」とまっすぐに語る薫と「誰が笑うものですか」と返す右京の会話には、思わず涙ぐんでしまうほど穏やかで、どこか切ない空気が流れていた。
そして、嬉しいことにseason21では、薫はサルウィンから帰国し、特命係の5代目相棒として復帰する。水谷豊さんは彼について「最後の相棒」とも語っており、season24でこの2人がどんな活躍を見せてくれるか非常に楽しみだ。
■神戸尊は警察庁への栄転
薫が特命係を去った後、season7の最終回「特命」で登場したのが2代目相棒となる神戸尊(演:及川光博さん)である。彼は薫と正反対の性格をしており、右京が「官僚くさい」とも評したエリートだ。彼はある特命を受けて表向きは降格し、特命係に入った。
当初は「君は薫君の代わりにはなれません」と右京は話し、お互い探り合いをする期間も長かった。しかし、徐々に信頼関係を築き、神戸は約3シーズンの間、右京の良き相棒として活躍した。
彼が特命係を去ったのは、season10の最終回「罪と罰」である。この事件ではクローン人間が関わっており、その扱いを巡って右京と神戸は対立してしまう。互いの正義感がぶつかったものの、右京が折れることでクローン人間の存在は守られる結果となった。
結果的にクローン人間が生まれることはなかったが、その後、神戸には、警察庁長官官房付への異動という表向きは栄転となる辞令が出てしまう。これは以前の事件で特命係に追い詰められた長谷川宗男元副総監の嫌がらせ的な行動であり、神戸はなすすべなく特命係を離れざるを得ない状況となった。
神戸との最後のシーンでは、車で送ると提案する神戸に対し「ようやく1人に慣れてきたところですから」と右京が返す姿にどこか寂しさを感じてしまう。クローン人間に関しては対立したが、2人の絆はいまもまだ続いており、神戸は歴代相棒全員と対面している唯一の相棒でもある。2代目の神戸の存在はその後の相棒たちにも大きな影響を与えている。


