■幸せの形とは…姉妹の想いと二人の間で揺らぐ高原の決断

 物語は、婚約者を寝取られ絶望する姉に対し、ますます大胆に高原に迫る妹という構図が出来上がっていく。

 しかし、高原にとって久美子の行動は迷惑なもので、困った末に「消えろ! 顔も見たくない」などと暴言を吐き拒絶する。自分の行動を棚に上げた酷い話であるのだが、久美子は暴言すらも受け止め、るり子に「私は高原さんを幸せにする自信がある」と言ってのけるのだった。

 そして、衝撃的な出来事が起こる。時間をかけて再構築を目指するり子の気持ちを知らない高原が、自分の過ちのけじめをつけると久美子と電撃結婚したのだ。これで久美子は、高原との結婚という目的を達成したことになる。

 その後は、るり子が退職して水口の仕事を手伝い出したり高原が左遷されたり、一連の出来事で沢村家が崩壊しかけたりとトラブル続き。一つの結婚により、周囲の人々までもがじわじわと変わってしまう。

 変化が起こった終盤。高原とるり子が再会し、気持ちを止められず関係を持ってしまう。こうなると高原はるり子に一直線で、全てを捨てて海外に行こうと言い出す。離婚を切り出された久美子は、「お姉ちゃんと会ってもいいから別れないで」と高原にすがり、るり子には略奪を詫びたうえで「高原さんを取らないで」と頭を下げる。

 板挟みになったるり子の下した決断は、高原との別れだった。お互いを愛しながらも、二人は泣きながら関係に終止符を打つ。そして、高原は久美子の元に戻り、るり子は水口からも離れて新たな一歩を踏み出す。

 月日が流れてるり子は久美子の妊娠を知らされる。恋は紆余曲折をへて、ようやく「想い出」にかわったのだった。姉妹がわだかまりなく会えるようになるには時間もかかるだろう。はたして、この選択が二人の幸せにとって正解だったのか。様々な見方ができるラストである。

 姉妹で同じ人を好きになるというのは、そうそうある話ではない。現実世界では、そもそも好きにならないという人や好きでも諦めるという人が多いだろう。だが、久美子のようにすべてをかけて愛を貫くのも一つの愛のカタチなのかもしれない。残念ながら現在は再放送もサブスク配信もなくなってしまったが、チャンスがあればぜひ当時を振り返りながら見てみてほしい作品である。

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