■ブレイク前でも存在感たっぷり『クニミツの政』柳楽優弥

 柳楽優弥さんは、2004年の映画『誰も知らない』での演技が第57回カンヌ国際映画祭で大絶賛された超実力派俳優だ。彼の存在を本作で知った人も多いだろうが、実は原作:安童夕馬さん、作画:朝基まさしさんの漫画を原作とするドラマ『クニミツの政』への出演も、彼のキャリアを語る上では欠かせない作品である。

 本作は押尾学さんが主演を務め、元不良が政治家を志し、世の中の理不尽を正していく異色の作品で、さまざまな反響を生んだ。

 この作品に柳楽さんが出演していることはあまり知られていないかもしれない。それもそのはず、彼にとっては連続ドラマ初出演作品であり、彼の知名度を飛躍的に上げた『誰も知らない』よりも前、2003年の7月期に放送されているからだ。

 『クニミツの政』で柳楽さんは、主人公である武藤国光が世話になっている坂上家の長男・晋作を演じている。小学5年生で国光のことを疎んでいる様子を見せていたが、彼が自分のクラスの担任になったのをきっかけに関係性が大きく変わっていく。

 問題児だらけのクラスを任された国光に「あいつらのこと甘く見ないほうがいいよ」と忠告するなど、国光とのやり取りも時にコミカルに、時にシリアスに演じていた。クールなようで実は純粋という、可愛らしいギャップも見どころのひとつだ。

 このドラマの頃はまだ無名だったにもかかわらず、柳楽さんの存在感は半端ではなかった。1990年生まれの柳楽さんは、撮影当時は13歳前後だったはず。そうとは思えないほどの落ち着いた演技で、すでに超一流俳優の片鱗を見せていた。

 

 漫画が原作の実写化作品では子どもが主演になったり、キーキャラクターになったりするケースも少なくない。そのため、天才子役と呼ばれる俳優たちが大きな役割を果たすこともある。その中でも、神木さんや柳楽さんのように大人になっても活躍し続けているのは、ごく一部だろう。

 今回紹介した「元天才子役」たちの当時の演技を見ると、彼らが今でも活躍するのも納得の驚異的な演技力を再確認できるはずだ。

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