南野陽子に小泉今日子、菊池桃子も…とにかくヒロインが可愛かった「80年代アイドル主演の実写化作品」の画像
DVD『はいからさんが通る』(東映)

 昭和時代の娯楽はテレビが中心であり、画面を通してアイドルたちの活躍を見ることも多かった。とくに80年代はアイドル全盛期の時代であり、“親衛隊”と呼ばれる熱狂的なファンがいたのも懐かしい。

 そんな80年代の人気アイドルは歌だけでなく、映画の主演に抜擢されることもよくあった。正直なところ俳優のような卓越した演技力があったかというとなんとも言えないが、ビジュアル面の可愛さはもちろん、そのたどたどしい演技もまた魅力に思えたものである。

 ここではそんな人気女性アイドルが演じた、昭和の人気少女漫画の実写化作品を見てみよう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■時代を超えた愛らしい女学生『はいからさんが通る』南野陽子

 南野陽子さんが主役を演じた『はいからさんが通る』は、1975年〜77年に『週刊少女フレンド』(講談社)で連載された大和和紀さんによる同名人気漫画を原作にした映画である。

 この作品で南野さんはおてんば娘の主人公・花村紅緒を演じており、許嫁である伊集院忍(阿部寛さん)との甘酸っぱい恋愛模様が繰り広げられた。

 原作漫画はシリアスな展開もあるものの、紅緒が酔っぱらって暴れるなどコメディタッチなシーンも印象的だった。

 実写映画で南野さんはそんな紅緒を見事に再現。塀の上に登ったり、袴姿で元気に自転車を走らせたりするコミカルなシーン、その一方で、覚悟を決めるため自ら断髪するといった迫力のあるシーンなど、緩急を付けて演じていた。

 ちなみに本作の映画テーマ曲『はいからさんが通る』を歌っているのも南野さんだ。この楽曲を歌番組で披露する際の多くは、映画と同じような袴姿で登場していたことを思い出す。

 その装いは映画でもステージでも見事にハマっており、まるで「はいからさん」が時代を超えてテレビ画面から飛び出してきたような、愛らしい存在感を放っていた。

■細い体で繰り出す柔道技の数々がすごかった『YAWARA!』浅香唯

 1986年〜1993年に『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載された浦沢直樹さん原作の『YAWARA!』は、天才的な柔道の才能を持ちつつも「普通の女の子になりたい」と願う猪熊柔が、恋やオシャレも楽しみながら、最終的にオリンピック女子柔道で金メダルを獲るべく奮闘する姿を描いた作品だ。

 その人気から、1989年に実写化映画化を果たした本作。主人公・柔を演じたのは、『C-Girl』が大ヒットしていた浅香唯さんだ。

 浅香さんは1986年にフジテレビ系ドラマ『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』の主役である三代目麻宮サキを演じており、その知名度や人気は抜群だった。『スケバン刑事III』は派手なアクションシーンも見どころだっただが、浅香さんは『YAWARA!』でも、背負い投げをはじめとした柔道の技を次々に繰り出している。

 赤いリボンのポニーテールに、白い柔道着をキリッと着こなす浅香さんはカッコよくて可愛い。しかし今あらためて見返すと、すぐに投げられてケガをしてしまいそうなほどに可憐で華奢である。

 昭和の実写映画はそんな矛盾を抱えながらも、アイドルの可愛さを前面に生かした作品が多かったように思う。

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