“人間製造機”に“なりきりチェス”も…読者もびっくり『ドラえもん』で製造中止になった「危険すぎるひみつ道具」の画像
DVD『TV版NEWドラえもん プレミアムコレクション ひみつ道具スペシャル IN編』(ポニーキャニオン)©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK

 国民的人気を誇る、藤子・F・不二雄さんの『ドラえもん』。1969年に誕生した本作は、昭和、平成、令和と時代を超えて愛される言わずと知れた名作だ。

 『ドラえもん』には魅力的なキャラクターがたくさん登場するが、22世紀からやってきたネコ型ロボットの「ドラえもん」はもちろん、彼のお腹に付けている四次元ポケットから飛び出す「ひみつ道具」たちも大きな見どころの一つ。

 未来の技術により作られたひみつ道具はとにかく便利で魅力的であり、「このひみつ道具が欲しい」と思ったことがある人は多いだろう。だが、なかにはその能力があまりにも危険すぎたため、製造中止となってしまった意外なものもあるのをご存じだろうか。

 今回はとんでもない効果に思わず身震いしてしまう、ひみつ道具を見ていこう。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■倫理観も問われるまさに問題作…「人間製造機」

 ひみつ道具のなかには、我々の思いもよらない方法で物体を生み出す道具も存在する。食べ物や服などを出現させたりと、上手に使えば生活の役に立つ道具も多くあるが、なかにはとんでもない物体を製造してしまう危険なものもある。

 そのなかの1つが、コミックス8巻に登場するひみつ道具「人間製造機」だ。

 見た目は部品が組み合わさった大型の透明のカプセルなのだが、脂肪や鉄、リン、炭素など、我々の肉体を構成している要素を揃えると、なんと「人間の赤ちゃん」を生み出すことができてしまう。

 作中、のび太はドラえもんの忠告を無視し、身の回りにある物……鉛筆や釘、マッチなどから人間の赤ちゃんを生み出してしまう。興味本位で道具を使用したのび太だったが、その後、ドラえもんから思いもよらぬ事実を聞かされることに……。

 実はこの「人間製造機」で生み出された人間は、超能力を持つミュータントになってしまう欠陥を抱えていたのだ。未来ではミュータントたちが勝手に仲間を増やして人間を征服しようとし、国連まで出動する騒ぎに……。そのため、すでに販売中止になっていた商品だったのだ。 

 戦慄するのび太だったが、時すでに遅し。のび太が作り上げた赤ちゃんもミュータントであり、生まれ持った超能力で2人に襲い掛かるのだった。

 このエピソードはドラえもんが機転を利かせ、どうにか事なきを得る。だが、そもそもどういう目的でこの道具が作り出されたのか……その背景を想像するだけでも、薄ら寒い感覚を覚えてしまう。

■欠陥品…でもレア度高し?「どこでもガス」

 多くのひみつ道具が登場する本作のなかでも絶大な知名度を誇るのが「どこでもドア」だろう。思い通りの場所に一瞬で移動できる夢のような道具だが、実はこれと似たネーミングのひみつ道具が存在することをご存じだろうか。

 それが、とある事情から発売中止となってしまった「どこでもガス」だ。「どこでもドア」の気体版のような効果を持っており、ガスをくぐることであらゆる場所へ移動することができる、実に便利な道具なのだ。

 移動範囲もかなりのもので、別の惑星への移動も可能。さらにガスを集めれば、一度に大量の人間や物体も転送できるなど、なかなか応用性も高い。

 だが、問題となったのがその精度だった。とんでもない場所に繋がったり、出口がずれてしまったりと危険と隣り合わせであり、その実用性のなさから販売中止となってしまっていた。

 そんな「どこでもガス」だが、実は作中に実物が登場したことが一度もない珍しい道具だったりする。その名前が登場したのが、映画化もされた『ドラえもん のび太とアニマル惑星』にて(『藤子・F・不二雄大全集 大長編ドラえもん』4巻)。

 似た効能を持つガスが登場したことから、ドラえもんが初めてこの「どこでもガス」の存在に触れたのである。ちなみに、作中で描かれたガスは効能こそ似ているものの、これが「どこでもガス」と同様のものなのかは明らかにはなっていないようだ。

 セリフのみに登場する、少しレアなひみつ道具だといえるだろう。

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