■のちの連載作でも活躍する個性豊かなキャラクターたち『逢魔ヶ刻動物園』堀越耕平

 2014年から連載が開始された堀越耕平氏の『僕のヒーローアカデミア』は、特殊能力を持つことが当たり前となった世界で、無個性の少年がヒーローになるべく奮闘していく大人気バトル漫画だ。

 『赤マルジャンプ2007 SUMMER』(集英社)にて、読切作品『テンコ』でデビューを果たした堀越氏。個性的なキャラ造形や人物描写が特徴的な漫画家であるが、2010年の初連載作品となる『逢魔ヶ刻動物園』でも、その魅力が存分に発揮されている。

 本作はドジな自分を変えようと思い立った主人公の女子高生・蒼井華が、動物が人間のような姿へと変貌する動物園にて、「天下一の動物園」を目指し奮闘していく物語だ。

 実在の動物をモチーフとするキャラクターが多数登場している本作。なかには『僕のヒーローアカデミア』にも同様の名前やビジュアルで登場するキャラクターもおり、作品の枠を超えた活躍を見せている。

 全5巻の短い作品ではあるが、第5巻には『ヒロアカ』のプロトタイプとも呼べる読み切り作品『僕のヒーロー』が掲載されている。のちの人気連載作品への繋がりやルーツを堪能することができるのは、ファンにとって嬉しいところだろう。

 

 人気漫画家たちが過去に手掛けた短編作品は、いずれも彼らの代表作に負けず劣らずの圧倒的なクオリティを誇っていた。いずれも短期で連載終了となってしまったが、魅力的なキャラクターや物語は強烈なインパクトがあり、ファンの間で語り継がれている名作だ。

 大人気作品のルーツを存分に感じることができる短編作品たちを、ぜひともその目で確かめてみてほしい。

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