■ニュータイプ研究の第一人者

 ジオン公国に所属する人物で、開戦前からニュータイプの研究を進めていたのが「フラナガン」博士だ。ニュータイプの軍事利用を目論むキシリア・ザビによって設立された研究施設「フラナガン機関」の所長を務めた人物である。

 シャリア・ブル、ララァ・スンにニュータイプの素養を見出し、また極秘裏に人体実験や人体改造といった非人道的な研究も行っていたとされる。

 そしてフラナガンとその研究機関の功績として知られるのが「サイコ・コミュニケーター」、通称サイコミュと呼ばれる技術の開発である。この技術を取り入れたニュータイプ専用モビルアーマー「ブラウ・ブロ」や「エルメス」が生み出された。

 一年戦争後、フラナガン博士自身がどこまで関わったかは不明だが、フラナガン機関の研究内容は、地球連邦軍のムラサメ研究所やネオ・ジオンにも受け継がれた様子。さらなるサイコミュ技術や、強化人間などのニュータイプ関係技術が発展する土壌を作った人物だ。

 なお、『ガンダム』シリーズのテレビアニメ最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』にも、「フラナガンスクール」という名称が登場する。

■ガンダム世界の"大前提"を作った偉人

 作中で頻繁に出てくる特殊な物質「ミノフスキー粒子」の発見者であり、ミノフスキー物理学を提唱した人物が「トレノフ・Y・ミノフスキー」だ。

 ミノフスキー粒子を散布することで、レーダーや無線通信機器が機能しなくなるという性質がある。そのことで作中世界を有視界戦闘中心の戦争に逆戻りさせ、その後の戦史に大きな影響を与えた人物である。

 そしてミノフスキー粒子に関連する技術は、さまざまな分野にも転用されていく。機体や艦艇を空中に浮遊させる「ミノフスキー・クラフト」。ミノフスキー粒子に電荷をかけることで生じる力場「Iフィールド」。そのIフィールドを成形して生まれるビームサーベルなど、『ガンダム』シリーズに登場する多くの新技術がミノフスキー物理学の応用からきている。

 いろいろな意味でもっとも作品に大きな影響を及ぼした研究者は、ミノフスキー博士と言っても過言ではない。


 作中でさまざまな発見や発明を行った技術者や研究者たちは、SF作品ならではのリアリティを構築するために欠かせないピースだ。アニメに登場した者、しなかった者を全部含めると、『ガンダム』シリーズにはたくさんの博士が存在する。みなさんのいちばん印象に残っている人物は誰だろうか。

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