■裏山が生死を分けるサバイバルに「のび太救出決死探検隊」
コミックス22巻に掲載されている「のび太救出決死探検隊」は、裏山を舞台にしたサバイバルストーリーだ。
ある日、スモールライトで小さくなり、ラジコン飛行機に乗って遊んでいたのび太。しかしエンジンの調子が悪くなり裏山に墜落してしまう。
探しに向かうドラえもんだったが、そこに退屈していたジャイアンやスネ夫、しずかちゃんも加わり、「ガリバートンネル」でわざわざ体を小さくし、冒険気分でのび太の救出に向かうことに。
途中でタケコプターなどの便利なひみつ道具を置いてきてしまったため、段差のある場所は体を使ってよじ登ったり、ミミズやトカゲに遭遇したら全力で逃げたりと、苦労が続く探検だった。
しかも終盤は大の苦手なドブネズミに遭遇し、ドラえもんが気絶。追いかけられた挙げ句断崖から落ちて……という命がけの展開が起きるのだ。
通常、裏山はそんなに危険のある場所ではない。しかしネズミよりも体を小さくして草原を冒険したら、このエピソードのようにスリル満点の体験になるだろう。
ラストはなんとかのび太を救出し、乗ってきたラジコン飛行機に乗って脱出に成功した5人。「ほんとに大冒険だったね」というドラえもんのセリフが、子どもの頃のワクワクした気持ちを思い出させてくれる。
それにしても、このエピソードに出てくるミミズやトカゲ、ネズミの姿はリアルそのもの。実際に出会ってしまったら、恐怖すること間違いない。
子どもの頃、『ドラえもん』の裏山のような場所があった人は少なくないだろう。そこに行くだけでもワクワクし、時に危険な目に遭うこともあったりと、自然から何かを教わることは多かったように思う。『ドラえもん』のエピソードも、裏山を通して多くの自然の教訓が描かれている。
スマホでは知ることのできない自然からの学び。これからも裏山のような遊べる場所を、今後の子どもたちにも残していきたいものである。