“エルアラメインの歌声”に“霧の葬送惑星”…『銀河鉄道999』理由なく狙われる「危険すぎる星」の画像
[Blu-ray]『銀河鉄道999』(東映アニメーション・東映ビデオ)/(C)松本零士・東映アニメーション

 松本零士さんの『銀河鉄道999』は、主人公の少年・星野鉄郎と、謎の美女メーテルが宇宙を旅する壮大なストーリーである。銀河鉄道999号が到着する宇宙の駅は、息をのむような美しい星や空を飛べるといった楽しい星もあるが、到着しただけで命を狙われてしまう恐ろしい星もある。

 そのため鉄郎やメーテルは、駅に着いてちょっと歩いただけで拉致されたり、襲われるといった理不尽な目に遭うことも多い。今回は降りただけで殺されそうになる『銀河鉄道999』の「危険すぎる星」を紹介したい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■人間が作ったものに人間が襲われるという悲劇「エルアラメインの歌声」

 コミックス2巻に掲載されている「エルアラメインの歌声」は、地球の未来がこうなってしまったら……と思わず考えさせられる、背筋の寒くなるようなエピソードだ。

 停車駅「エルアラメイン」で降りた鉄郎とメーテル。その星は以前こそ人間が住んでいたものの、戦争で滅亡してしまい、残されたのは戦車など兵器の残骸ばかり。

 鉄郎たちはそれを知らず駅から降りてしまい、生命反応を察知した兵器が動く鉄郎たちに狙いを定め、周りを取り囲んでしまう。万事休すかと思った矢先、メーテルの機転で2人はとっさに仮死状態になる。最後は車掌が2人を救出して、辛くもこの恐ろしい星から脱出できた。

 鉄郎へ危害を加えようとしてきたのは人間ではなく、人間が作った恐ろしい兵器の数々だった。現実でも地球上では戦争が続いており、生命体を発見すると攻撃するといったドローンも開発されている。それを考えると、このエピソードは決して漫画の世界だけの話ではないのだ。

 鉄郎がつぶやいた「人間がいなければ おとなしく沈黙したただの鉄のかたまりか……人間がいなければ………」というセリフが重くのしかかる。

■いつか全住民が消滅する?「霧の葬送惑星」

 コミックス5巻に掲載されている「霧の葬送惑星」は、人が亡くなることに喜びを見出している星だ。

 「葬送惑星」という霧に包まれた停車駅で降りた鉄郎とメーテル。その星に住む人は、お葬式の悲しいムードを楽しむために次々に人を殺してはお葬式をあげ続けていた。

 案の定、鉄郎とメーテルも到着後すぐに住民たちに襲われ、棺桶に閉じ込められてしまう。2人を襲った住人は倒れた2人を見て「年若い少年と、美しい女の人……」「こんな悲しいお葬式ってのはめったにないわ」と涙を流すが、なんだか楽しそうにしている。

 その後どうにか脱出した2人は弱装エネルギー銃を使い、住民たちを気絶させる。「すぐ逃げなきゃやばいよ」という鉄郎だったが、その後集まってきた住人たちは鉄郎たちに目もくれず、倒れた住人を生きたまま埋葬し、さらに楽しみの涙を流すのであった。

 生きている人を次々に襲っては埋葬を繰り返す恐ろしい星「葬送惑星」。このような習慣を繰り返していけば、そこに住む人々はいつか全滅してしまうのではないだろうか。とにかく地球人なら絶対に足を踏み入れてはいけない、危険すぎる駅である。

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