■言葉の通じない地球外生命体との架け橋となる機体
最後に劇場版『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』より「ダブルオークアンタ」を紹介したい。同作は、『ガンダム』シリーズの映像作品において初となる、地球外生命体が登場したことでも大きな話題になった作品だ。
自在に形を変える金属の体で構成された地球外生命体「ELS」は、人類のおよそ1万倍の戦力で地球圏に襲来する。人類は地球上の全戦力を結集して戦いに臨むが、四方八方から圧倒的物量で突撃してくるELSにより多くの犠牲者を出した。
そんな絶望的な状況のなか、言葉を発さず目的すら分からないELSとの対話を試みるために出撃したのが、主人公の刹那・F・セイエイが駆るダブルオークアンタだ。
同機に搭載された「クアンタムシステム」は、新人類の「イノベイター」へと覚醒した刹那の能力によって、高濃度のGN粒子を広域に散布する「クアンタムバースト」を発動。この力で脳量子波によるELSとの対話を実現させる。彼らの意図を理解した刹那の活躍によって、人類はELSとの共存の道へと進んだのである。
『00』のテレビシリーズでは平和に向けた人類同士の戦いが描かれてきたため、劇場版での「地球外生命体との対話」という展開は予想できなかった。
人類初の試みを実現させた「クアンタムシステム」がすごいのはもちろんだが、劇中終盤では「GNバスターライフル」で直径3000キロのELSの表面を切り裂いたことや、ELSの母星に量子テレポートしたことなども忘れられない。ダブルオークアンタはこれまでに登場したガンダムとは一線を画す、とにかく異次元の存在に感じられた。
『ガンダム』シリーズには、さまざまなかたちで人智を超えた能力を披露した機体が描かれてきた。非現実的な力に感じることもあるが、時にはそういった力で物語を紡ぐのも、『ガンダム』シリーズの魅力といえるだろう。
そんな『ガンダム』シリーズの歴史において、新たな1ページを飾る『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のテレビ放映が間近に迫り、再び「宇宙世紀」が熱を帯びようとしている。この作品ではどのような機体の活躍が描かれるのか、放送開始を心待ちにしたい。