■眠らなくても鋭い推理力

 小五郎は的外れな推理をしてばかりいる、そんな印象も強い。だからコナンがそれをカバーし、小五郎を眠らせて事件を解決するのが初期からのお決まりの流れだ。

 しかし、コナン抜きでする推理はどうなのかといえば、意外にも高い推理力を持っている。

 小五郎が眠らずして解決した事件はあまり多くないのだが、先ほど柔道の強さで紹介したふたつの事件、「小五郎の同窓会殺人事件」と『名探偵コナン 水平線上の陰謀』での事件に関しては自力で解決していた。後者にいたっては、コナンより先に真犯人に気付き、ほとんどひとりで相手を追い詰めているほどだ。

 どちらもそうだが、小五郎にとって身近な人物や気になる人物が最初から登場していると、観察眼や推理力が鋭く反応するらしい。幼なじみの女優が関係した「見えない容疑者」で真相にたどり着いていたのも、そのためだろう。さらにこの事件では、裏側にある複雑な人間関係を見抜き、その点ではコナンの上を行っていた。

 本気を出せば優秀な探偵になれそうなのだから、普段も実力を発揮してほしいところだが、性格的にも無理なのだろう。もったいない話だ。

■子ども思いの常識人

 コナンや少年探偵団はあまりにも事件に慣れすぎていて、つい読者は彼らが子どもということを忘れてしまいがちだ。登場人物たちもそれは同じで、いろいろな大人が事件に関わるコナンたちの姿を容認する形となってしまっている。しかし、それに歯止めをかけているのが小五郎だ。

 小五郎は現場に入ってこようとするコナンを叱りつけ、つまみ出すシーンが多い。コナンの推理を邪魔する形となるわけで、子どもの頃はそれがうっとうしく感じたものだが、よくよく考えてみればこれは大人として至極まっとうな行動である。

 殺人現場という凄惨な光景を子どもに見せたくない、現場を荒させたくない、という思いがあってなのか、この行動は初期の頃から一貫している。だらしなくて頼りないように見えて、実は誰より常識的なところがあり、子どもを守ろうとする気持ちも強い小五郎。普段がああだからこそ、ギャップにシビれてしまう。

 

 『名探偵コナン』にはハイスペックキャラばかりが登場するのであまり目立っていないが、小五郎も実はかなり優秀だ。個人的にも好きなキャラなので、もっとコナン抜きでの事件解決や妻である妃英理とのやり取りを見てみたい。『隻眼の残像』での活躍にも期待大である。

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