
2025年4月8日から放送開始となるガンダムシリーズのテレビアニメ最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』。その主人公「アマテ・ユズリハ」通称“マチュ”はスペースコロニー育ちであり、3月23日に公開された最新映像ではコロニーを背景にバトルする様子も描かれている。
また、映画公開前に公開された特報映像では、マチュが暮らすコロニーの設定を語るモノローグがあり、その内容は『機動戦士ガンダム』に登場するコロニーと同じもの。この段階から宇宙世紀シリーズとのつながりを匂わせていた。
テレビアニメ『ジークアクス』では、そんなマチュたちのコロニーでの暮らしぶりが描写されると思われるが、これまでの『ガンダム』シリーズにおけるスペースコロニーでの暮らしはどのように描かれていたのだろうか。
アニメ映像ではそこまで詳しく言及されていないが、さまざまな作品や関連書籍で断片的に描かれたスペースコロニー暮らしの実情を振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■ガンダムの歴史の始まりでもある「スペースコロニー」
まずはスペースコロニーに関する基本的な情報を、書籍『機動戦士ガンダム 公式百科事典』(講談社)の内容から探っていこう。
スペースコロニーとは「直径6.4キロ、全長30キロ以上の円筒を半球状のふたで閉じた巨大な圧力容器」である。それを約2分間に1回転させることで、遠心力により1G相当の擬似重力を発生させている。
地球の増えすぎた人口によるさまざまな問題を解決するためスペースコロニーが作られ、本格的に宇宙移民政策が始まると、それまでの「西暦」から「宇宙世紀」へと移行した。
スペースコロニーの生活に必要な電力は「太陽光発電」、もしくはモビルスーツ(MS)の動力などに用いられる「核融合炉」でまかなわれる。コロニー内の天候もコントロールされ降雨なども計画的に行われ、台風など極端な天候は存在しない。
また各コロニーには農業ブロックがあり、技術の進歩により地球上の比ではないほどの食料生産が可能とのこと。魚の養殖も淡水魚に限り可能で、畜産は専門のコロニーでのみ行われている。
『F91』や『ポケットの中の戦争』で描かれているように、コロニー内は立派な都市になっており、学校などの必要施設も存在。そこでは学園祭なども催され、学生生活を不自由なく送っていた。
■コロニー生活の闇
前述の通りスペースコロニーでの生活は、安定したエネルギー供給に穏やかな気候、若干偏りがあるものの食料生産も行われ、地球上の生活と比較してもとくに違いはないように思える。しかし、実際の声はどうだったのだろうか。
アニメ『機動戦士ガンダムZZ』の主人公「ジュドー・アーシタ」は、第2話で「空気や電気の料金は税金以上に取り立てられるからな」と発言している。
宇宙で生きるということは空気すら作り出されたものを購入しなければならないという、コロニーに生きる彼らのリアルが想像できるセリフである。
すべてのコロニーにおいて同様の徴収があるのかは不明だが、少なくとも税金とは別にコロニーを維持するための必要コストも住人が支払わなければならない状況はありえたのだろう。
そしてアニメ『機動戦士Zガンダム』の第7話では、サイド1のコロニーに毒ガスを注入した「30バンチ事件」のきっかけとなった反連邦デモを行う場面が描かれている。
彼らが掲げる旗に書かれたメッセージは「スペースコロニーに自治権を!」「スペースノイドに地球を管理させよ!」といった内容だった。
このことからスペースコロニーには自治権がなく、自分たちでルールを作ることすらできず、地球に住むわずかな特権階級の人間が一方的に支配していたことが分かる。
そのうえ生きるために必要不可欠な空気すら購入しなければならない苦しい生活を送っていたとすれば、スペースノイドが不満や怒りを覚えるのも当然かもしれない。
そもそも増えすぎた人口を宇宙に移す際、どのようにその人間を振り分けたのだろうか。アニメ『機動戦士Vガンダム』の時代には、宇宙に移民した人が地球に残してきた財産を宇宙に持ってくる「宇宙引越公社」という非政府組織が存在した。こうしたサービスがある以上、強制的に宇宙へ移民させられた人が相当数いたことが推測される。