
1985年3月2日の放送開始から40周年を迎えた『機動戦士Zガンダム』。主人公のカミーユ・ビダンをはじめとする個性的なキャラクターたちと、3つの勢力が入り乱れる重厚なストーリー、そしてその衝撃のラストシーンなど見どころが満載で、40年経っても色あせない魅力を放つ人気作だ。
そんな同作のメインモビルスーツ(MS)である「Zガンダム」は、主人公機としては他に類を見ない可変機能付きのMSとしても親しまれている。「ウェイブライダー」と呼ばれるモビルアーマー(MA)形態から折りたたまれた四肢が展開し、胴体からその凛々しい頭部が露出。最後にV字アンテナをキラリと展開させるこの変形シークエンスは、何度見ても惚れ惚れするかっこよさだ。
今回は、そんなZガンダム以外にも多くの可変機体が登場する『機動戦士Zガンダム』より、その変形シークエンスにしびれた機体を振り返っていこう。
※本記事には作品の内容を含みます
■生産性を捨てロマンを取る「ガブスレイ」
まずは昆虫のようなMA形態が特徴のティターンズのMS「ガブスレイ」を、第21話「ゼータの鼓動」にて見られた変形シークエンスを参考に紹介しよう。
まず、MSの骨でもあるムーバブルフレームによって形を成していた格闘兵装のクローが折りたたまれ後方に移動し、そのまま装甲の内側に収まることでMSの脚部となる。続いて、脇の内側にコンパクトに折りたたまれた両腕が展開し、背部から移動してきたフェダーインライフルを掴む。
そして仰向けの状態から身体を翻しながら、頭部を覆っていたカバーが背部に移動することで、モノアイの鋭い眼光を放つ凛々しい表情が明らかになるのである。
ガブスレイはその複雑な変形機構ゆえ生産のコストが高く、整備も難儀なことから量産化には至らなかった。しかし、ロボットの変形とは複雑であればあるほどかっこいいものである。
兵器として長期的に運用するには非合理的な機体だったかもしれないが、昆虫のような見た目のMA形態から、重厚で凛々しい騎士のようなMSに変形するというガブスレイならではの二面性は、間違いなく多くのマニアを唸らせたことだろう。
■シンプルな変形で宇宙空間を自在に泳ぐ「ハンブラビ」
続いて、シンプルな可変機構をもつティターンズのMS「ハンブラビ」について、第31話「ハーフムーン・ラブ」にて見られた変形シークエンスから紹介しよう。
MA形態時はまるで海洋生物・エイにも似たデザインであるハンブラビ。その腹側を見せるようにして地面に対し垂直に姿勢をとると、上方に向けて折りたたまれた両腕を展開し、同時に背部に向けて折りたたまれていた両脚が、胴体から突然生えるかの如く勢いよく展開するのである。
前述したガブスレイの後継として開発された機体でもあることから、変形機構が極限まで簡略化されているのがハンブラビの特徴だ。折りたたまれた四肢を展開するだけというこのシンプルな変形にはわずか0.5秒ほどしかかからず、瞬く間にその姿を変えるのである。
ガシャガシャと変形するメカ的なロマンは薄いかもしれないが、勢いを伴ってその異形のMS形態をさらす変形シークエンスもまた、ファンに強烈な印象を残した。