■『ブルーピリオド』美術にすべてを懸ける天才・高橋世田介

 『ブルーピリオド』は山口つばささんが描く青春群像劇であり、テレビアニメ、舞台、実写映画と次々とメディアミックスがおこなわれている。美術に青春をかける若者たちの葛藤を残酷なまでに表現した作品として、高い評価を受けた。

 本作の実写映画では、主人公・矢口八虎を眞栄田郷敦さんが演じ、板垣さんはそのライバル役・高橋世田介を演じている。世田介は天才少年であり、その存在は八虎にとっても大きなものとなっていく。

 世田介は初登場シーンでいきなり、初めて描く石膏像のデッサンを見事に仕上げてしまう。八虎もその才能に圧倒された。しかし、才能ゆえに世田介は美大受験というものにうまく対応できず、苛立ちを募らせていく。そして、ある授業でかなり低い評価を受け、ついに感情を爆発させるシーンでは、美術にかける執念がひしひしと伝わってきた。

 予備校をやめると話す世田介だったが、八虎はそれを止める。すると「お前なんて器用で人に合わせるのがうまいだけ、努力と戦略だけだろ」と痛烈な一言を放つのだ。美術と芸大受験という2つの相反するベクトルに悩む世田介の鬼気迫る表情には、思わず圧倒されてしまった。

 器用にこなす八虎に「何でも持ってる人がこっち来んなよ、美術じゃなくてもよかったくせに…」と言い放つ世田介。美術にすべてをかける彼の切実な姿には、心を大きく揺さぶられた。

 

 現在放送中のドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』でもさまざまな表情を見せている板垣さん。ビジュアルの美しさはもちろん、その高い演技力で見る者を惹きつける彼の姿から、今後も目が離せない。

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