「え、実はめちゃ強い?」歴代『ガンダム』主人公の陰に隠れて地味に優秀「過小評価されがちなパイロット」たち チャック・キースにセシリー・フェアチャイルド、そして…!?の画像
DVD『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY Vol.1』バンダイナムコフィルムワークス (C)創通・サンライズ

 ガンダム作品の初見時は、どうしても主人公やそのライバルの活躍に目を奪われがち。しかし何度も作品を見返しているうちに、意外なパイロットの強さに気づかされることも多い。

 主人公の陰に隠れて実は撃墜シーンが多かったり、普通のパイロットでは考えられない急成長を遂げるキャラもいる。そういった新たな発見があるのも、ガンダム作品の楽しみのひとつといえるだろう。

 実際に作中で披露した活躍ほど目立っていないパイロットに焦点を当てて、その秘めた実力を掘り下げていきたい。

※本記事は各作品の内容を含みます。

■新兵だったのに「いぶし銀」の活躍

 OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場するチャック・キースは、士官学校を出たてのテストパイロット。臆病な性格で、周りの同僚からも舐められやすいタイプだ。

 その気弱さに加えて実戦経験もなかったため、とくに序盤は戦場で怯えるようなシーンも目立った。彼のそういった印象が強いため、パイロットとしての印象はそれほど強くないキャラといえる。

 しかし作品をじっくり観てみると、実は意外なほど撃墜シーンに絡んでいることが分かる。トリントン基地が襲撃されたときも、ザクIIに乗ってドム・トローペンを撃破する場面があった。

 もちろん運が良かったのもあるだろうが、明らかに格上の機体なうえ一年戦争を経験したベテランが乗っていたことを考えると大金星といっていい。

 その後の戦いでも複数の敵機を撃破しており、コウをサポートしつつもエース級の戦果を挙げている。とくに序盤は主人公のコウ・ウラキを凌ぐ撃墜数を誇り、コウがヴァル・ヴァロと激突した戦いでも巧みにサポートしていた。こうしたキースの活躍がなければ、コウは早々と戦死していた可能性もあった。

 キースが所属するアルビオン隊は激戦区に放り込まれることも多く、何度も死線を乗り越えることになった。それでも過酷なデラーズ紛争を生き延びたのは、彼の抜群の操縦センスがあってのことだと感じられる。

■モビルスーツ戦にめっぽう強い女性隊長

 続いての意外な強キャラは、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したレズン・シュタイナーだ。あらためて作品を見返すと彼女の強さは際立つのだが、どうしてもラー・カイラムの対空機銃に撃墜された印象が強く、初見時はそこまで強さを感じられなかった人物でもある。

 そもそも彼女は青いパーソナルカラーで塗られたギラ・ドーガに乗っており、れっきとしたエースパイロットだ。ジェガンを相手に無双する場面が目立ち、ロンド・ベル隊が誇る腕利きパイロット、ケーラ・スゥを圧倒した。

 不運だったのは、まるで名もなきパイロットのようにラー・カイラムの機銃に倒されてしまったことだ。しかしあれは、サイコフレームの試料を身に着けていたチェーン・アギが発揮した不思議な力が影響したと考えられる。いわば偶発的な奇跡に倒されたといっても過言ではない。

 それに裏を返せばレズンは、機銃が届く距離までロンド・ベルの旗艦であるラー・カイラムに肉薄したことになる。あのサイコフレームの力がなければ敵の旗艦を撃沈し、ブライト・ノアを亡き者にする未来だってありえたのだ。

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