■近しい人物からの「あんまりな言葉」

 カミーユの発言や暴行もヒドイが、頼れる部下であり、恋人のような関係にも見えた相手からの発言にもヒドイものがあった。

 『機動戦士ガンダム』の第40話でララァ・スンの乗るエルメスとともに、ゲルググで出撃したシャア。アムロのガンダムはいち早くシャアの存在に気づき、ビームライフルを放つ。

 アムロの反応速度についていけないシャアを、エルメスのビットで守るララァ。この頃のアムロはニュータイプとして覚醒の域に達しており、マグネットコーティングが施されたガンダムの性能向上もあって、ケタ外れの強さを誇っていた。

 そしてアムロのガンダムに攻撃がかすりもしないシャアに対し、ララァは「大佐、どいてください。邪魔です」と足手まといであるかのような言葉を投げかけたのである。

 年下の少女に守られたうえ、足を引っ張る立場になったことを痛感せざるをえない破壊力満点のひと言。「赤い彗星」と呼ばれた男としては、あまりにも切なすぎるシーンだった。

■肉親からの、あまりに辛辣なひと言

 シャアが直接言われたセリフではないものの、作中でもっとも破壊力がありそうな暴言が『機動戦士ガンダムZZ』にて飛び出した。

 そのセリフを言い放ったのは、シャアの実妹であるセイラ・マス。第46話でブライト・ノアから、兄のシャアが裏で何かを画策しているという情報を聞いた際、セイラは「そんな兄は見たくありません。いっそ死んでくれれば……」と発言した。

 兄が直接聞いていたら卒倒しそうなセリフではあるが、実際『逆襲のシャア』でとんでもないことをしでかすのだから、何を言われても仕方がない。

 ちなみにセイラは「野心と妄想よ……兄は何か宇宙の意志のようなものに従わねばならないと思ってるんです」と、シャアが実現しようとしている大望についてもバッサリ切り捨てていたのが印象的だ。


 このほか『逆襲のシャア』で、ライバルのアムロに「情けないヤツ」「器量が小さい」と言われたりもしている。シャアからするとさんざんな言われようだが、彼にはこういう暴言を言われる欠点や隙があるのも事実。そんな人間らしい弱さを持っているのも、シャア・アズナブルという人物の魅力と言えそうだ。

  1. 1
  2. 2