
巨大な人型兵器・モビルスーツ(MS)が、まばゆい閃光を放つビーム兵器を用いて戦う姿が描かれる『ガンダム』シリーズの戦闘シーン。パイロットたちが舌戦を繰り広げながら行うビームサーベルによるつばぜり合いや装甲を融解させる描写は、どんなにシリーズを重ねても色褪せない魅力がある。
そんな近未来的な戦闘描写がある『ガンダム』シリーズだが、なかにはもはやアナログに思える存在の「実体剣」を用いて敵機を戦闘不能にするMSも存在する。
そんな実体剣を用いて戦場で無双したMSたちと、その戦闘シーンについて見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■世界の歪みを断ち切る天使の剣
まずは『機動戦士ガンダム00』にて、主人公の刹那・F・セイエイが搭乗した「ガンダムエクシア」だ。
“セブンソード”という開発コードで呼ばれたガンダムエクシアは、本機のメイン武装である巨大な実体剣のGNソードに加え、同じく実体剣のGNロングブレイド/GNショートブレイド、GNビームサーベル/ビームダガーを2本ずつ備え、計7本の近接武器を搭載している。
本機の実体剣は、太陽炉から生成される特殊な粒子「GN粒子」を圧縮した「GNフィールド」でコーティングされており、耐久性と切れ味を大幅に向上させている。
第1話にてAEUの新型MS・イナクトと対峙した際は、GNソードを振り上げただけでイナクトの左腕を切断し、直後に右腕もスッパリと切断している。
続く第2話で民族紛争に介入した際も、その機動力を活かしてMS・ティエレンに急速接近し、胴体を綺麗に両断。そのまま流れるように次々と撃墜数を重ねていく描写が見られ、エクシアの性能はもとより、GNソードの凄まじい切れ味を表していた。
エクシアが実体剣を採用している理由として、刹那が所属する組織であるソレスタルビーイング内で裏切り者が出た際に対抗できるよう、対ガンダム戦を想定していることにある。太陽炉搭載機が発生させるバリアのようなGNフィールドを貫くことができるのが、同じくGNフィールドをまとったエクシアの実体剣なのである。
実際、第25話にて対峙したMS・アルヴァアロンに対して、2本のGNブレイドがGNフィールドを貫き裏切り者のアレハンドロ・コーナーを駆逐するという、エクシアの機体コンセプトが大いに作用するアツい展開を見せていた。
■コックピットに突き立てられる悪魔の刃
続いては『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の主人公、三日月・オーガスが搭乗した、ガンダム・バルバトスの「太刀」を紹介しよう。
作品の世界観として、これまでの『ガンダム』シリーズより極端にビーム兵器を用いた戦闘描写が少ないのが特徴でもある『オルフェンズ』。
それゆえか、敵機の破砕に特化した「メイス」がバルバトスのメイン武器として用いられており、太刀の出番はそれほど多くはなかったのが実状である。とはいえ、太刀による戦闘描写にはメイスにないスタイリッシュさがあり、視聴者に強烈な印象を残した。
哨戒任務中、宇宙海賊「ブルワーズ」から急襲を受けた昭弘・アルトランドとタカキ・ウノは、敵機のガンダム・グシオンの重装甲に苦戦を強いられる。あわや撃墜まで追い込まれたところで太刀を携えたバルバトスが参上し、グシオンの装甲の隙間を縫って首元からコックピットまでを、たった一突きで貫くことで窮地を救うのである。
さらにブルワーズのエースパイロットであるクダル・カデルとの戦闘においては、装甲の隙間を縫うという戦い方が太刀の有効な使用法であると理解した三日月が、クダルをなぶり殺しにする描写があった。
装甲の隙間を正確に斬りつけ、武器を叩き落とす三日月に対し、クダルは「お前、楽しんでるだろう! 人殺しをよぉぉ!!」と絶叫。最終的には以前と同様に首元からコックピットまでを太刀で貫かれ、クダル自身も縦に真っ二つに引き裂かれていた。
他作品であればビームサーベルで一瞬で蒸発していることだろうが、『オルフェンズ』においては、巨大な実体剣に身体を真っ二つにされるという、「刃物」としての恐怖感が如実に現れたシーンだったと言えるだろう。