■ホップするボールに憧れた!『わたるがぴゅん!』与那覇わたるの「ハブボール」
1984年に『月刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されたのが、なかいま強氏の『わたるがぴゅん!』だ。
主人公・与那覇わたるは沖縄県から東京都の東和台中学校に転校する。破天荒なキャラだが運動神経が抜群で野球部のマネージャーに一目ぼれをして入部すると、走攻守と三拍子揃った曲者プレーヤーとして活躍していく。
足の速いわたるは1番打者でエースとなり、「ハブボール」という浮き上がる魔球を投げる。低い位置から威力が衰えずに打者の手元で浮き上がるため、ストライクゾーンに入る。
当時小学生でボーイズリーグに所属していた筆者は変化球が禁止されていたため、“単純に変化する”ボールに憧れていた。体格が中学生クラスの相手投手の速球は、なぜか手元で浮き上がるようにホップして見えたので恐怖した覚えがある。
このことから「ハブボール」は実現可能な魔球として考えており、どうにか特訓して身につけようとあがいていたものだった(ムリだったが……)。
ちなみにわたるはその後、ハブボールを2段階で進化させており、ほかにもナックルのような「シーサーボール」などを考案していた。
振り返ってみると、筆者より上の世代の野球漫画にも多くの魔球が登場していた。そういえば、1984年から『週刊ヤングジャンプ』で連載されていた、桑沢篤夫氏の『緑山高校』のエース・二階堂定春が投げる190キロの剛速球も、捕手・犬島雅美や審判を吹き飛ばすほどの威力を誇るので、魔球と言えばそうなのかもしれない。
「どうにか習得できるかも?」と、当時の野球少年たちを熱くさせた魔球たち。今見返しても夢やロマンが感じられ、相変わらず憧れてしまう。