
いまや、日本の映像界に欠かせない存在となった俳優・松坂桃李さん。現在放送中の『御上先生』(TBS系)でも、圧倒的な“静”の存在感で視聴者をひきつけています。
そんな松坂桃李さんは3月3日、2027年放送予定のNHK大河ドラマの主演を務めることが明らかとなりました。タイトルは『逆賊の幕臣』で、演じるのは勝海舟のライバルとされている小栗上野介忠順。「幕末の殿」という役柄だといいますが、実は松坂さん、約16年前のデビュー作でも「殿」を演じています。いわゆる戦隊モノ、スーパー戦隊シリーズの『侍戦隊シンケンジャー』(テレビ朝日系)です。
松坂さん自身も制作・主演発表会見で、「『シンケンジャー』から16年余り。『シンケンジャー』のときは20歳だったので、いろんな作品を経て、36歳になって、36歳なりの人生を経た殿を見せたい」と感慨深げに語っています。
ならば「20歳の殿」を振り返ってみたくなりますよね。そこで今回、子どもの幼児期に『超力戦隊オーレンジャー』(同)を横目で観てナーガ・レイ(感情を失いし者)のモノマネをすることだけに苦心していた“戦隊知識ゼロ”のアラフォーママの筆者が、予備知識ゼロで松坂桃李のデビュー作『侍戦隊シンケンジャー』を鑑賞してみました!
※本記事には『侍戦隊シンケンジャー』第1話の内容を含みます
■小気味よい構成に思わずうっとり!
さっそく第1話。
開始20秒で早々に、少年の前に敵が出現。「三途の川から外道衆がやってくる!」と力強いナレーションが入り、「ああ、敵は外道衆というのだな」とわからせてくれます。そして間髪入れずに時代劇風味な伊吹吾郎さんと、赤いコスチュームのヒーロー(シンケンレッド)が登場。早い! そして伊吹さんが「こちらにおわすのは……」とこの者が誰であるか説明するのを、「じい、長い」と斬り捨てるクールな声の主は、紛れもなく松坂桃李だ!
そして日本刀のような武器で殺陣を繰り広げ、バックで流れる『侍戦隊シンケンジャー』のテーマ曲に合わせてタイトルが登場。そんな小気味よい構成に、「なんとスマートなんだろう……」とうっとり。
ただ、伊吹さんが時代劇すぎるし時代設定がよくわからないし、松坂さんもひととおり戦いが終わると黒子がささっと持ってきた日本茶をなんの疑問もなくすするし……。「いったい、これはどんな目で観たらよいのだろうか」と困惑していると。
「だいたい、忠義とか、家臣とか、時代錯誤なんだ……!」
これからの外道衆との戦いに備え、仲間の侍を集めなければなりませんと説く伊吹さんに、そう吐き捨てる松坂さん。いやいや、あんたもさっきから伊吹さんを「じい」とか呼んだり、急に日本茶すすったりこの世界に甘んじてるじゃんか、とツッコもうとしたときでした。
「なにをいまさら! それを言ったら、殿だのじいだのがすでに時代遅れです!」
伊吹さんが視聴者のツッコミを代弁してくれたのです。
この瞬間、ああ、これはきっと大人も楽しめる作品だ、と確信したのでした。
また、このときの松坂さんの孤高をまとった横顔の美しさときたら、すでにスターの片鱗が芽生えているではありませんか。やっぱりスターって、その星のもとに生まれるのだなあと実感。