■金魚は助かったけれど仲直りは……?「金魚をたすけろ!」
「金魚をたすけろ!」は、2004年度横浜編のエピソードだ。
主人公のコウヘイは、幼いころに母を失くした少年だ。一方、クラスメイトのジュンには優しい母親がいて女子にも人気があり、そんな彼をコウヘイは苦手に思っていた。
ある日、クラスで金魚を飼うことになったが飼育係が決まらず、結局じゃんけんで負けたコウヘイやジュンの3人が担当になる。ジュンは金魚の世話に詳しかったが、コウヘイはプライドが邪魔して飼育方法を聞けなかった。その結果、コウヘイはエサをやりすぎて水が汚れ、金魚が弱ってしまう。クラスは騒然となるのだが、コウヘイは原因が自分だと言い出せずにいた。
その後、金魚を救うため、池へ水を取りに向かったコウヘイはジュンと出くわす。ジュンは、コウヘイが金魚の世話をサボっていたことを知っていたと明かし、そして「(金魚が)死んだら、見ないようにした僕も同罪」と言うのだった。
その後、水を替えたことで元気を取り戻した金魚。コウヘイは先生に素直に謝ることができた。最後は、元気に泳ぐ金魚の姿とともに物語は幕を閉じる。
このエピソードでとりあえず金魚は助かったものの、コウヘイとジュンの関係性が良くなったのかどうかはまったく分からないままだ。ジュンもコウヘイの行動を知りながら、あえて何もしなかったのが妙にリアルだ。
小学生同士のトラブルはよくあることだが、たとえばドラマなどでは喧嘩を経て仲直りするのが定番だろう。しかし『さわやか3組』では、仲直りせずに終わる展開も多い。その後の2人がどうなったのか分からないストーリーは逆に現実味があり、人間関係を考えさせられる話に仕上がっている。
『さわやか3組』は、学校の道徳の授業で視聴した人も多かっただろう。クラスメイトみんなで協力して問題をスッキリ解決できたエピソードもあれば、今回紹介したように「えっ、それで終わっちゃうの!?」と思わず確認したくなるようなものも多かった。
トラウマ回というのは少々大げさだが、続きが見たくなるエピソードが多かったのは確かである。そんなモヤモヤも含め、『さわやか3組』は面白かったと思う。