
青山剛昌氏による『名探偵コナン』(小学館)は日本を代表するミステリー漫画で、全世界累計発行部数は2億7000万部を超える。
これまでに100巻以上ものコミックスが発売されており、作中で起こった事件の数は数え切れない。膨大な事件やトリックを生み出すために作者もかなり苦労したはずだ。
そんな数多くある事件で、たまに登場するのがダイイングメッセージである。これはミステリーを盛り上げる定番の要素のひとつといってもいいだろう。被害者が犯人をしめすヒントを死に際に残し、簡単に理解できないものになっている。本作でもそれは同じだ。
今回は『名探偵コナン』に登場した、かなり難しいダイイングメッセージを紹介していきたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■○×△の記号の意味とは…
まずは「隠して急いで省略」の事件で使用されたダイイングメッセージだ。これは被害者が犯人に包丁で刺されて絶命する前に残したものである。
現場のビルが停電になったことで犯人が慌てて逃げる前に、被害者は持っていた封筒の端に○×△と暗号のようなものを書いていた。
その後、ダイイングメッセージは警察に発見されるが、誰も何を意味しているのか分からない……。そんな中、○の左隣に書いたであろう□が発見され、それが他の記号と比べて大きいところからコナンはひらめく。そして、容疑者リストに名前があった「国吉文太」が犯人だと突き止めたのだ。
このダイイングメッセージは、犯人の名前の下の部分を表していた。□は「国」の囗(くにがまえ)、○×△は残る「吉文太」の下半分を手早く書いたもの……という具合である。
被害者は暗闇の中で国吉の名前を封筒の端に書いたせいで、中に入っていた書類にまたがって文字を書いてしまった。しかも犯人が書類を持ち去ったので、下半分しか残らなかったのだ。
しっかりと漢字を書いた場合、たとえ下半分だけでもこんな風にはならないはずだ。しかし、停電や焦りによって漢字が省略されてしまったことで、このような形になってしまった。エピソードのタイトルにも納得してしまう。
英語教師(実はFBI捜査官)のジョディは最初にこの記号を見た時、PlayStationのコントローラーを思い浮かべていたが、筆者としても同じ気持ちになってしまった。
■駐車禁止の標識がヒントに!?
次は、「標的(ターゲット)は警視庁交通部」の中でのダイイングメッセージを紹介していこう。こちらもかなり難解なものになっている。
それが、被害者が息絶える前に指さした駐車禁止の道路標識。そこに犯人をしめすものが隠されているというわけだが……とても自力では真相にたどり着けそうにない。
駐車禁止の標識は、青地に赤で丸と斜めの斜線が入っている。そこにどんな意味がこめられているのかというと、赤の丸と斜線を「NO」ととらえ、その前に青地の「青」を加えることで「あおの」になるというものだ。
犯人候補の中には青野健吾という男がいたので、めでたく逮捕につながった。ちなみに被害者は交通部交通課の警察官。だからこそとっさに、標識から犯人に導くようなダイイングメッセージを思いついたのかもしれない。