■ケガから救ってくれた親子への恩返し

 トリを飾るのは1974年~75年放送の『ウルトラマンレオ』の第30話「怪獣の恩返し 鶴の恩返しより」に登場した、「宇宙で一番美しい怪獣」といわれる「ローラン」だ。

 ローランはマグマ星人の求婚を拒否したために怒りを買い、針による攻撃を受けて足を負傷してしまう。しかし、そこに宇宙パトロール隊MACの「おおとりゲン(ウルトラマンレオ)」が現れてマグマ星人を攻撃。その間にローランはどこかへ逃げ去ってしまう。

 その後、大熊シンジとケンジの親子の前にローランが出現。ローランに懇願された大熊親子と通りがかったゲンが力を合わせて足に刺さった針を抜いてやると、ローランは感謝の意を示してどこかへ飛び去っていった。

 しばらくすると、大熊シンジが営む自転車店に星村かな子と名乗る女性が現れ、押しかけ同然で技術者として雇ってもらうことに。店に現れたゲンは、かな子の正体がローランだと気づくが、大熊親子に恩返しがしたいというローランの思いをくんで静観する。

 店で働くことになったかな子は、宣伝のために自分の体に生えた羽根を使って風車(かざぐるま)を作成。これをつけると自転車のスピードが上がると評判になる。しかし、再びマグマ星人が出現し、ローランの風車をつけた子どもたちを次々と襲撃。事情を察したMAC隊長の「モロボシ・ダン(ウルトラセブン)」は、ローランを宇宙に送り返すようゲンに命じる。

 実はマグマ星人は、ウルトラマンレオの故郷を滅ぼした宇宙人でもあった。殺された両親の復讐に燃えるレオはローランに風車の作成を依頼し、マグマ星人をおびき出そうと考えた。

 しかしマグマ星人はローランの前に現れると、度重なる求婚に応じないため殺害しようする。そこにウルトラマンレオが駆けつけ、マグマ星人と壮絶なバトルを展開。最後はローランにもらった風車をマグマ星人の胸に突き刺して倒した。こうして大熊親子やゲンへの恩を返したローランは宇宙へと帰っていった。


 このように数多くいる怪獣のなかには優しい心の持ち主もおり、それぞれのエピソードを見返すと心が洗われる気分になれる。怪獣たちは必ずしも人間と敵対する存在ではない点も、ウルトラマンシリーズの大きな魅力といえそうだ。

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