悪いヤツだけじゃない!昭和『ウルトラマン』人間の味方「心やさしき怪獣」たちの感動エピソードの画像
DVD『ウルトラマン Vol.10』(バンダイビジュアル) (C)円谷プロ

 1966年放送の『ウルトラQ』から始まった「昭和ウルトラマン」シリーズには、数多くの怪獣や宇宙人が登場した。思うがままに暴れ回って街を破壊する怪獣、地球侵略を目的として飛来した宇宙人など、どれも地球の平和を脅かす存在のように思える。

 しかし、中には地球人に対して友好的な怪獣もいた。絶体絶命の危機に陥った人間を助けたり、救ってもらった恩を返そうとしたりと、恐るべき怪獣とは思えないような心優しい行動をみせたこともある。

 今回はそんな怪獣たちの心温まるエピソードを振り返っていこう。

※本記事には各作品の内容を含みます

■身を挺して科学特捜隊の命を守ったピグモン

 最初にピックアップするのは、1966~67年放送の『ウルトラマン』第8話「怪獣無法地帯」に登場する小型の怪獣「ピグモン」だ。

 火山活動が活発で無人島になっていた多々良島における気象観測が再開されたが、送り込まれた観測員が音信不通になってしまう。調査のため科学特捜隊が上陸すると、多々良島はレッドキングをはじめとした凶暴な怪獣たちが生息する地獄のような島になっていた。

 観測員を捜索中の科学特捜隊の前に姿を現したのがピグモンだ。ピグモンは唯一生き残った観測員のために、水や食料を運んでいたのだ。

 しかし、科学特捜隊と観測員が合流したところで獰猛なレッドキングが出現。ピグモンは自らおとりになるような動きをみせる。これに対してレッドキングが巨大な岩石を放り投げたために岩が崩れ、その破片が当たったピグモンは絶命してしまう。

 その後、第37話「小さな英雄」では、突如復活したピグモンが銀座のデパートに出現。ピグモンを保護した科学特捜隊に何かを訴えようとする。言葉の解析の結果、ジェロニモンという怪獣が、これまでウルトラマンや科学特捜隊に倒されてきた怪獣たちを再生させ、復讐を目論んでいることが判明。ピグモンもまた、ジェロニモンが再生させた一体だった。

 科学特捜隊は60体以上の怪獣が姿を現す前にジェロニモンを撃退することを決断し、ピグモンの案内で怪獣たちの集結地点へと向かう。

 実はその頃、科学特捜隊のイデ隊員は、ウルトラマンさえいれば自分たちは必要ないのではないかと思い悩んでいた。そのため戦意が上がらず、任務中も積極的に動こうとせず、再生した怪獣ドラコに襲われて危機に陥ってしまう。

 すると、そこにピグモンが現れておとりになり、最後はドラコによって叩き潰されてしまう。その死を目の当たりにして自分の過ちに気づいたイデ隊員は、新兵器「スパーク8」でドラコを見事に撃退した。

 すべての戦いが終わったあと、ピグモンには科学特捜隊の特別隊員の称号が贈られ、その勇敢な行動がたたえられている。

■大ケガをした女性を救った親子怪獣

 続いて紹介するのは、1973~74年放送の『ウルトラマンタロウ』の第22話「子連れ怪獣の怒り!」に登場した親子怪獣の「パンドラ」と「チンペ」だ。

 軽井沢で結婚式を挙げたばかりの新婚夫婦の藤波隆夫と優子は、浅間山を散策中に怪獣と遭遇。その際に優子が崖から転落して行方不明になってしまう。隆夫は友人である宇宙科学警備隊ZATの隊員「東光太郎(ウルトラマンタロウ)」に捜索協力を要請した。

 妻を怪獣に殺されたと思い込んだ隆夫は、ハンターである自分の手で仇を討とうと決意する。一方、優子の捜索を続けていた光太郎は、怪獣パンドラの巣で彼女を発見。心優しいパンドラとチンペの親子に助けられ、温泉や薬草で傷を治そうとしてくれた経緯が明らかになる。

 一方、そんな事情を知らない隆夫は、発見したパンドラ親子に対して、ハンター仲間とともに猟銃で攻撃。パンドラは傷を負ってしまう。そしてパンドラがケガをしたことを知った優子は、命の恩人であるパンドラの治療に当たることを決める。

 光太郎は、友人の隆夫に優子の考えを伝えたが、彼は光太郎の言葉に耳を貸さず、あくまでも怪獣を倒すと主張。チンペを罠にかけ、射殺してしまう。そして、この凶行にパンドラは激怒。人間に復讐すべく暴れはじめる。

 駆けつけたZATの攻撃は、パンドラのタフな体に通用しなかったが、ウルトラマンタロウの攻撃はさすがにしのぎきれず絶体絶命に。しかし、優子がパンドラの優しさを訴えると、これを聞き入れたウルトラマンタロウはパンドラの傷を癒やし、チンペも復活させる。その後パンドラとチンペの親子は、地底の怪獣世界へと帰っていき、その入り口はZATによって封印された。

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