■まさかの展開に驚いた『リトルバスターズ!』

 最後に紹介をしたいのが『リトルバスターズ!』だ。この作品も1期と2期『リトルバスターズ!〜Refrain~』があり、感動シーンはおもに2期の8話以降に連続して見られる。

 本作のストーリーは、主人公・直枝理樹と友人から成る「リトルバスターズ」が青春を過ごすというもの。しかし、後にこの物語の舞台は「現実の世界」ではないという衝撃の事実が明かされる。かつて修学旅行で起こったバスの事故をきっかけに、リトルバスターズのリーダー格・棗恭介を中心に作り出された「虚構の世界」だったのである。主要キャラ全員はその中で、延々と1学期をループして過ごしていた。

 そしてこのループに気付いていないのは理樹と恭介の妹・鈴だけだ。恭介や他の友人たちはそのことを知っている。なぜなら、その世界が作られた目的は、バス事故で唯一生き残りとなった理樹と鈴が、皆のいない世界でも生きていけるよう成長させるため。そして、ふたりと納得のいく別れを告げるためでもあったからだ。

 感動シーンはやはり友人たちの別れで、それぞれが口にする「長い時間一緒に過ごせてよかった」「お前たちと出会えていなかった人生なんて考えられない!」といったセリフの数々に感動がこみ上げる。それが恭介との別れでは最高潮を迎え、彼がこれまでにないくらいに感情的になって「俺だって、お前たちといてえよ!ずっとずっといたかったんだ!」と泣き叫ぶ姿には心を打たれた。

 しかし終盤では、バスの事故直後に目覚めた理樹と鈴が自らの手で運命を変えようとする。ループの世界で成長したことで、強い心を持って同級生の救出をおこなえるまでになったのだ。その強さによって、死ぬはずだった生徒全員が生き残る結果となる。

 恭介たちとしては、自分たちが死んでもふたりが強く生きていけるようにすることが目的だったのに、それを覆される形となる。これは嬉しい誤算で、全員が救われて良かった……と感動させられた。

 

 登場人物の心情をていねいに描くことで視聴者の心を揺さぶってきた「Key作品」。コミカルとシリアスの絶妙なバランスや、中盤から終盤にかけての怒涛の感動展開が魅力のひとつだ。

 今回紹介したもの以外にも、まだまだ泣ける作品が数多くある。あなたの心の中に最も強く残っているKey作品はどれだろうか。

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